文字サイズ

背景色を変える

図書館メニュー
  • 小平市に関すること
  • 多摩に関すること
  • 江戸・東京に関すること
  • 玉川上水・小金井桜に関すること
  • その他
  • こどものページへ

ここから本文です。

33. これが武蔵国(むさしのくに)だっ!

武蔵国(むさしのくに)とは

むかし、むかし。律令(りつりょう)国家(こっか)(注釈)(ころ)日本(にっぽん)は、五畿(ごき)七道(しちどう)()かれておりましたとさ。
五畿(ごき)というのは、山城(やましろ)大和(やまと)河内(かわち)和泉(いずみ)摂津(せっつ)畿内(きない)5か(こく)のこと。
畿内(きない)とは、朝廷(ちょうてい)周辺(しゅうへん)特別(とくべつ)地域(ちいき)として、646(大化(たいか)2)(ねん)(もう)けられたもの。
そして、(みやこ)中心(ちゅうしん)地方(ちほう)へのびる幹線(かんせん)道路(どうろ)をもとにして、全国(ぜんこく)を7つの地方(ちほう)()けたのが七道(しちどう)七道(しちどう)のそれぞれはさらにいくつかの(くに)()かれていた。
讃岐うどんとか薩摩じょうちゅうとか… これらの(ふる)(くに)()は、(いま)でもけっこうあちこちで()くことがあると(おも)うけれど。

(注釈)律令(りつりょう)国家(こっか)とは…
律令(りつりょう)格式(きゃくしき)などの法律(ほうりつ)(もとづ)いて(おさ)められる国家(こっか)
大化改新(たいかのかいしん)平安(へいあん)時代(じだい)(ごろ)までの日本(にっぽん)をいう。

東国(とうごく)武蔵国(むさしのくに)()()える。(いま)東京都(とうきょうと)埼玉県(さいたまけん)神奈川県(かながわけん)川崎市(かわさきし)横浜市(よこはまし)あたりを範囲(はんい)とする大国(たいこく)だ。
(はじ)めは无邪志(むざし)胸刺(むなさし/むさし)知々夫(ちちぶ)の三(ごく)()かれていた。大化改新(たいかのかいしん)(645(ねん))でひとつの(くに)になり、713(和銅(わどう)6)(ねん)には、「武蔵(むさし)」の()があてられるようになった。
五畿(ごき)七道(しちどう)のうちの東山道(とうさんどう)(ぞく)していたのだけれど、771(宝亀(ほうき)2)(ねん)10(がつ)東海道(とうかいどう)(ぞく)するようになった。武蔵国(むさしのくに)東部(とうぶ)下総国(しもうさのくに)西部(せいぶ)(あいだ)にあって、両国(りょうこく)交通(こうつう)困難(こんなん)にしていた「埼玉(さきたま)入江(いりえ)」が、しだいに()まっていって、()()(らく)になったことがその理由(りゆう)らしい。また、この時期(じき)には大陸(たいりく)からの渡来人(とらいじん)武蔵国(むさしのくに)(うつ)()んだ。
平安(へいあん)時代(じだい)には、武蔵七党(むさししちとう)坂東(ばんどう)(はち)平氏(へいし)などの武士団(ぶしだん)がこの()()まれる。武家(ぶけ)政治(せいじ)のはじまり、鎌倉(かまくら)時代(じだい)には、武蔵国(むさしのくに)関東(かんとう)分国(ぶんこく)源頼朝(みなもとのよりとも)直接(ちょくせつ)支配(しはい)する領地(りょうち))であった。
室町(むろまち)時代(じだい)には鎌倉(かまくら)公方(くぼう)(つぎ)上杉(うえすぎ)()(おさ)め、さらに小田原(おだわら)後北条氏(ごほうじょうし)支配(しはい)。1590(天正(てんしょう)18)(ねん)には、後北条氏(ごほうじょうし)(ほろ)んで、徳川(とくがわ)家康(いえやす)関東(かんとう)入国(にゅうごく)とあいなりましたとさ。

江戸(えど)時代(じだい)ちょっと(まえ)天正(てんしょう)10(ねん))の日本(にっぽん)

江戸時代ちょっと前の日本

西海道(さいかいどう)
1.筑前(ちくぜん)(いま)福岡県(ふくおかけん)
2.筑後(ちくご)(いま)福岡県(ふくおかけん)
3.豊前(ぶぜん)(いま)福岡県(ふくおかけん)大分県(おおいたけん)
4.豊後(ぶんご)(いま)大分県(おおいたけん)
5.肥前(ひぜん)(いま)佐賀県(さがけん)長崎県(ながさきけん)
6.肥後(ひご)(いま)熊本県(くまもとけん)
7.日向(ひゅうが)(いま)宮崎県(みやざきけん)
8.薩摩(さつま)(いま)鹿児島県(かごしまけん)
9.大隅(おおすみ)(いま)鹿児島県(かごしまけん)
10.壱岐(いき)(いま)長崎県(ながさきけん)
11.対馬(つしま)(いま)長崎県(ながさきけん)
12.琉球(りゅうきゅう)(いま)沖縄県(おきなわけん)

南海道(なんかいどう)
13.紀伊(きい)(いま)和歌山県(わかやまけん)三重県(みえけん)
14.淡路(あわじ)(いま)兵庫県(ひょうごけん)
15.阿波(あわ)(いま)徳島県(とくしまけん)
16.讃岐(さぬき)(いま)香川県(かがわけん)
17.伊予(いよ)(いま)愛媛県(えひめけん)
18.土佐(とさ)(いま)高知県(こうちけん)

山陽道(さんようどう)
19.播磨(はりま)(いま)兵庫県(ひょうごけん)
20.美作(みまさか)(いま)岡山県(おかやまけん)
21.備前(びぜん)(いま)岡山県(おかやまけん)
22.備中(びっちゅう)(いま)岡山県(おかやまけん)
23.備後(びんご)(いま)広島県(ひろしまけん)
24.安芸(あき)(いま)広島県(ひろしまけん)
25.周防(すおう)(いま)山口県(やまぐちけん)
26.長門(ながと)(いま)山口県(やまぐちけん)

畿内(きない)
27.山城(やましろ)(いま)京都府(きょうとふ)
28.大和(やまと)(いま)奈良県(ならけん)
29.河内(かわち)(いま)大阪府(おおさかふ)
30.和泉(いずみ)(いま)大阪府(おおさかふ)
31.摂津(せっつ)(いま)大阪府(おおさかふ)兵庫県(ひょうごけん)

東海道(とうかいどう)
32.常陸(ひたち)(いま)茨城県(いばらきけん)
33.下総(しもうさ)(いま)千葉県(ちばけん)茨城県(いばらきけん)
34.上総(かずさ)(いま)千葉県(ちばけん)
35.安房(あわ)(いま)千葉県(ちばけん)
36.武蔵(むさし)(いま)東京都(とうきょうと)神奈川県(かながわけん)埼玉県(さいたまけん)
37.相模(さがみ)(いま)神奈川県(かながわけん)
38.甲斐(かい)(いま)山梨県(やまなしけん)
39.駿河(するが)(いま)静岡県(しずおかけん)
40.伊豆(いず)(いま)静岡県(しずおかけん)
41.遠江(とおとうみ)(いま)静岡県(しずおかけん)
42.三河(みかわ)(いま)愛知県(あいちけん)
43.尾張(おわり)(いま)愛知県(あいちけん)
44.伊勢(いせ)(いま)三重県(みえけん)
45.伊賀(いが)(いま)三重県(みえけん)
46.志摩(しま)(いま)三重県(みえけん)

東山道(とうさんどう)
47.陸奥(むつ)(いま)青森県(あおもりけん)岩手県(いわてけん)秋田県(あきたけん)宮城県(みやぎけん)福島県(ふくしまけん)
48.出羽(でわ)(いま)秋田県(あきたけん)山形県(やまがたけん)
49.下野(しもつけ)(いま)栃木県(とちぎけん)
50.上野(こうずけ)(いま)群馬県(ぐんまけん)
51.信濃(しなの)(いま)長野県(ながのけん)
52.飛騨(ひだ)(いま)岐阜県(ぎふけん)
53.美濃(みの)(いま)岐阜県(ぎふけん)
54.近江(おうみ)(いま)滋賀県(しがけん)

山陰道(さんいんどう)
55.丹波(たんば)(いま)京都府(きょうとふ)兵庫県(ひょうごけん)
56.丹後(たんご)(いま)京都府(きょうとふ)
57.但馬(たじま)(いま)兵庫県(ひょうごけん)
58.因幡(いなば)(いま)鳥取県(とっとりけん)
59.伯耆(ほうき)(いま)鳥取県(とっとりけん)
60.出雲(いずも)(いま)島根県(しまねけん)
61.石見(いわみ)(いま)島根県(しまねけん)
62.隠岐(おき)(いま)島根県(しまねけん)

北陸道(ほくりくどう)
63.越後(えちご)(いま)新潟県(にいがたけん)
64.佐渡(さど)(いま)新潟県(にいがたけん)
65.越中(えっちゅう)(いま)富山県(とやまけん)
66.能登(のと)(いま)石川県(いしかわけん)
67.加賀(かが)(いま)石川県(いしかわけん)
68.越前(えちぜん)(いま)福井県(ふくいけん)
69.若狹(わかさ)(いま)福井県(ふくいけん)

70.蝦夷(えぞ)(いま)北海道(ほっかいどう)

勢揃(せいぞろ)い! 武蔵国(むさしのくに) 22(ぐん)

新編(しんぺん)武蔵(むさし)風土記(ふどき)稿(こう)」に()かれているものをあげた。

武蔵国 22郡
なまえ せつめい
1.豊島(としま)(ぐん) むかし、東京湾(とうきょうわん)(きし)のまわりにはたくさんの(しま)があったので、この()がついたのでは、と()う。(その(ころ)東京湾(とうきょうわん)は、豊島(としま)(ぐん)(ひがし)はしまで()りこんでいた。)(うみ)につき()た、(たか)土地(とち)、という意味(いみ)も。
特産物(とくさんぶつ)】だいこん、なす、とうがらし、みょうが、うなぎ、磁器(じき)
いまのどのへん? 台東(たいとう)荒川(あらかわ)(きた)板橋(いたばし)練馬(ねりま)豊島(としま)文京(ぶんきょう)新宿(しんじゅく)各区(かくく)と、(みなと)渋谷(しぶや)千代田区(ちよだく)の一()
2.葛飾(かつしか)(ぐん) (くず)(マメ()植物(しょくぶつ))が(しげ)(ところ)だったので、この()がついた。(はじ)めは下総国(しもうさのくに)(ぞく)していたけれど、江戸(えど)時代(じだい)にはいって、下総(しもうさ)武蔵国(むさしのくに)とに()かれた。東京都(とうきょうと)埼玉県(さいたまけん)千葉県(ちばけん)の1()2(けん)にまたがっていたんだ。
特産物(とくさんぶつ)】なす、ねぎ、のり、(こい)白魚(しらうお)(ふな)、うなぎ、早稲米(わせまい)など
いまのどのへん? 葛飾(かつしか)墨田(すみだ)江東(こうとう)江戸川(えどがわ)各区(かくく)と、埼玉県(さいたまけん)三郷市(みさとし)および鷲宮(わしのみや)幸手(さって)杉戸(すぎと)庄和(しょうわ)吉川(よしかわ)松伏(まつふし)各町(かくまち)のあたり。
3.荏原(えばら)(ぐん) 荏胡麻(えごま)(シソ()の1年草(ねんそう))が(しげ)(ところ)という意味(いみ)()
特産物(とくさんぶつ)記載(きさい)なし
いまのどのへん? 品川(しながわ)目黒(めぐろ)大田(おおた)世田谷(せたがや)各区(かくく)と、(みなと)千代田区(ちよだく)の一()
4.橘樹(たちばな)(ぐん) 日本(やまと)武尊命(たけるのみこと)弟橘妃(おとたちばなひめ)伝説(でんせつ)からくる地名(ちめい)だという(せつ)もあれば、タチ(台地(だいち))のハナ(はしっこ)を意味(いみ)する()だ、という(せつ)も。
特産物(とくさんぶつ)(しお)(なし)
いまのどのへん? 神奈川県(かながわけん)川崎市(かわさきし)と、横浜市(よこはまし)鶴見(つるみ)神奈川(かながわ)保土ケ谷(ほどがや)港北区(こうほくく)のあたり。
5.久良岐(くらき)(ぐん) 14世紀(せいき)(ごろ)までは「久良」と()かれていた。武蔵国造(むさしのくにのみやつこ)朝廷(ちょうてい)献上(けんじょう)した屯倉(みやけ)(こめ)をたくわえておく(くら))のひとつがここにあって、それを中心(ちゅうしん)(ぐん)ができあがっていったんだろう、といわれる。(「日本書記(にほんしょき)」で西暦(せいれき)500(ねん)(ごろ)のこと。)
特産物(とくさんぶつ)魚介(ぎょかい)(しお)
いまのどのへん? 神奈川県(かながわけん)横浜市(よこはまし)(みなみ)(なか)磯子(いそご)金沢(かなざわ)各区(かくく)と、港南(こうなん)西区(にしく)の一()
6.都筑(つづき)(ぐん) (がけ)場所(ばしょ)という意味(いみ)だ、とか、まがりくねる(かわ)(なが)れや、(やま)ひだにかこまれた場所(ばしょ)という意味(いみ)だとか、高地(こうち)という意味(いみ)だとか、地名(ちめい)由来(ゆらい)はいろいろある。
特産物(とくさんぶつ)(かき)(すみ)
いまのどのへん? 神奈川県(かながわけん)横浜市(よこはまし)(みどり)(あさひ)各区(かくく)と、港北(こうほく)保土ケ谷(ほどがや)川崎市(かわさきし)麻生区(あそうく)の一()
7.多摩(たま)(ぐん) 多摩(たま)(ぐん)()多摩川(たまがわ)(むす)びついているみたいなんだ。山梨県(やまなしけん)丹波山(たんばさん)(みなもと)とする(かわ)なので、「丹波(たんば)」からきている()だとする(せつ)がある。「タバ」とか「タワ」は(とうげ)意味(いみ)する言葉(ことば)なんだって。
そして、この(かわ)はまた、武蔵国(むさしのくに)中央(ちゅうおう)(なが)れる(せい)なる(かわ)だったから、「(せい)なる御霊(みたま)」の意味(いみ)をこめて「タマ(がわ)」と()ぶようになり、このへんの地名(ちめい)も「タマ」となったという(せつ)もある。
特産物(とくさんぶつ)織物(おりもの)
いまのどのへん? (さん)多摩(たま)地区(ちく)と、中野(なかの)杉並(すぎなみ)各区(かくく)、および世田谷区(せたがやく)の一()
8.新座(にいざ)(ぐん) もともとは「新羅郡」と()かれていたけれど、平安(へいあん)時代(じだい)(ごろ)から「新座」と()くようになった。「新羅(しらぎ)」は4世紀(せいき)から10世紀(せいき)(ごろ)まで、朝鮮(ちょうせん)半島(はんとう)にあった(くに)だ。志木(しき)なども新羅(しらぎ)のなまった地名(ちめい)なんだって。(ぐん)()新羅(しらぎ)からの渡来人(とらいじん)()んだことに由来(ゆらい)する、という(せつ)がある。
江戸(えど)時代(じだい)(まえ)までは「にいくら」と()ばれていたらしい。
特産物(とくさんぶつ)】だいこん、ごぼう、(いも)(こい)野菜(やさい)いろいろ
いまのどのへん? 埼玉県(さいたまけん)志木(しき)朝霞(あさか)和光(わこう)新座(にいざ)各市(かくし)のあたり。
9.足立(あだち)(ぐん) タチ(台地(だいち))をあらわす地名(ちめい)だとか、アダ((がけ))をあらわす地名(ちめい)だとかの(せつ)がある。
特産物(とくさんぶつ)(しぶ)(かみ)、ヤマノイモ
いまのどのへん? 埼玉県(さいたまけん)戸田(とだ)(わらび)鳩ケ谷(はとがや)川口(かわぐち)浦和(うらわ)与野(よの)大宮(おおみや)上尾(あげお)桶川(おけがわ)北本(きたもと)鴻巣(こうのす)各市(かくし)北足立(きたあだち)(ぐん)のあたり。
10.入間(いるま)(ぐん) (たに)などがいりこんだ(ところ)、という意味(いみ)地名(ちめい)
特産物(とくさんぶつ)記載(きさい)なし
いまのどのへん? 埼玉県(さいたまけん)入間(いるま)所沢(ところざわ)狭山(さやま)川越(かわごえ)上福岡(かみふくおか)富士見(ふじみ)坂戸(さかど)各市(かくし)入間(いるま)(ぐん)のあたり。
11.高麗(こま)(ぐん) 紀元前(きげんぜん)1世紀(せいき)から7世紀(せいき)(ごろ)まで、朝鮮(ちょうせん)半島(はんとう)にあった「高句麗(こうくり)」という(くに)からの渡来人(とらいじん)がここに(おお)()んだので、この地名(ちめい)がついたという(せつ)と、「河間(かわま?)」((かわ)(あいだ)())の意味(いみ)という(せつ)関東(かんとう)(おお)い、(こま)(うま))の地名(ちめい)だ、という(せつ)などいろいろある。
特産物(とくさんぶつ)(なわ)、むしろ、織物(おりもの)
いまのどのへん? 埼玉県(さいたまけん)飯能(はんのう)日高(ひだか)鶴ケ島(つるがしま)各市(かくし)のあたり。
12.比企(ひき)(ぐん) 「ひき」は「ひく」に(つう)じて、「低地(ていち)」を意味(いみ)するとも()うけれど、また、「(ひく)(やま)()()らなる()」の意味(いみ)だという(せつ)も。
特産物(とくさんぶつ)(かみ)、そうめん
いまのどのへん? 埼玉県(さいたまけん)(ひがし)松山市(まつやまし)比企(ひき)(ぐん)のあたり。
13.横見(よこみ)(ぐん) この(ぐん)のある位置(いち)が、古代(こだい)重要(じゅうよう)道路(どうろ)から(よこ)()えるので、この()がついたとか。
特産物(とくさんぶつ)記載(きさい)なし
いまのどのへん? 埼玉県(さいたまけん)比企(ひき)(ぐん)吉見町(よしみちょう)のあたり。
14.埼玉(さいたま)(ぐん) もともとは「さきたま」と()ばれたようだ。前玉(さきたま)神社(じんじゃ)()由来(ゆらい)するとも、多摩(たま)(まえ)(さき))にあるから「さき多摩(たま)」と()ばれたのだとも()う。
特産物(とくさんぶつ)木綿(もめん)(しま)、もちごめ、ごぼう、そうめん
いまのどのへん? 埼玉県(さいたまけん)岩槻(いわつき)春日部(かすかべ)越谷(こしがや)久喜(くき)八潮(やしお)蓮田(はすだ)行田(ぎょうだ)羽生(はにう)加須(かぞ)各市(かくし)と、南北(なんぼく)埼玉(さいたま)(ぐん)のあたり。
15.大里(おおさと)(ぐん)
16.男衾(おぶすま)(ぐん)
17.幡羅(はら)(ぐん)
幡羅(はら)が「はたら」と()ばれるようになったのは、江戸(えど)時代(じだい)以降(いこう)。それより(まえ)は「ハラ」と()んでいた。「ハラ」は(たい)らな()をあらわす言葉(ことば)だ。
特産物(とくさんぶつ)大里(おおさと)(ぐん)=記載(きさい)なし 男衾(おぶすま)(ぐん)=(きぬ) 幡羅(はら)(ぐん)=太織(ふとおり)
いまのどのへん? 埼玉県(さいたまけん)熊谷(くまがや)深谷(ふかや)各市(かくし)大里(おおさと)(ぐん)のあたり。
18.榛沢(はんざわ)(ぐん) むかしこのあたりには、(おお)きな(さわ)があって、その左右(さゆう)(はん)()(カベノキ()落葉樹(らくようじゅ))が()っていたのでこの地名(ちめい)がついたとか。江戸(えど)時代(じだい)()かれた『新編(しんぺん)武蔵(むさし)風土記(ふどき)稿(こう)』という(ほん)にも、「(いま)もこのあたりには(はん)()がある」と(しる)されている。
特産物(とくさんぶつ)(きぬ)太織(ふとおり)
いまのどのへん? 埼玉県(さいたまけん)熊谷(くまがや)深谷(ふかや)各市(かくし)大里(おおさと)(ぐん)のあたり。
19.那賀(なか)(ぐん)
(那珂郡とも)
21の加美(かみ)(ぐん)、つまり「(かみ)」の(ぐん)(たい)して、「(なか)」の(ぐん)という意味(いみ)なのだそうだ。
特産物(とくさんぶつ)(かいこ)煙草(たばこ)
いまのどのへん? 埼玉県(さいたまけん)児玉(こだま)(ぐん)のあたり。
20.児玉(こだま)(ぐん) この地名(ちめい)は「蚕玉(こだま)」((かいこ)神様(かみさま))からおこって、(ふる)くから養蚕(ようさん)(さか)んだったことをしめしている、とする(せつ)(くだ)いた(ぎん)を「小玉(こだま)」と()うので、(ぎん)(どう)産出(さんしゅつ)した土地(とち)だという(せつ)とがある。
特産物(とくさんぶつ)(かいこ)綿(わた)煙草(たばこ)
いまのどのへん? 埼玉県(さいたまけん)本庄市(ほんじょうし)児玉(こだま)(ぐん)のあたり。
21.賀美(かみ)(ぐん)
(加美郡とも)
武蔵国(むさしのくに)(きた)のはじっこで、この(くに)東山道(とうさんどう)(ぞく)していた(ころ)は、畿内(きない)にいちばん(ちか)かった。それで「(かみ)」の()がついたという。
特産物(とくさんぶつ)(かいこ)煙草(たばこ)
いまのどのへん? 埼玉県(さいたまけん)児玉(こだま)(ぐん)のあたり。
22.秩父(ちちぶ)(ぐん) 知々夫(ちちぶの)国造(くにのみやつこ)支配(しはい)したところからきている。けれど「ちちぶ」の()そのものは、秩父(ちちぶ)(やま)(なか)鍾乳石(しょうにゅうせき)(おお)(むかし)は「いしのち」と()った)の(かたち)から()まれたと()う。また、「(ちち)()」(イチョウのこと。(おお)(むかし)相模(さがみ)地方(ちほう)などの方言(ほうげん))にちなむ地名(ちめい)だとも()う。
特産物(とくさんぶつ)織物(おりもの)
いまのどのへん? 埼玉県(さいたまけん)秩父市(ちちぶし)秩父(ちちぶ)(ぐん)のあたり。

国府(こくふ)国分寺(こくぶんじ)
中大兄(なかのおおえの)皇子(おうじ)中臣(なかとみの)鎌足(かまたり)らは大化改新(たいかのかいしん)(あたら)しい(くに)づくりを目指(めざ)した。手本(てほん)となったのは(ずい)(とう)律令(りつりょう)制度(せいど)中央(ちゅうおう)地方(ちほう)政治(せいじ)のしかたや、税制(ぜいせい)(ととの)えられ、日本(にっぽん)全国(ぜんこく)は60の(くに)()けられた。そして地方(ちほう)豪族(ごうぞく)国造(くにのみやつこ)にかわって、各国(かっこく)国司(こくし)()ばれる役人(やくにん)中央(ちゅうおう)から派遣(はけん)された。国司(こくし)仕事(しごと)をする役所(やくしょ)国衙(こくが)といい、国衙(こくが)のある場所(ばしょ)国府(こくふ)という。国府(こくふ)というのは、政治(せいじ)軍事(ぐんじ)交通(こうつう)文化(ぶんか)宗教(しゅうきょう)中心(ちゅうしん)だった。
武蔵国(むさしのくに)国府(こくふ)(いま)府中市(ふちゅうし)だ。府中(ふちゅう)という地名(ちめい)は「国府(こくふ)(なか)」という意味(いみ)からきている。ここにはまた、武蔵(むさし)国中(くにじゅう)神様(かみさま)をひとつにまとめておまつりした総社(そうじゃ)もつくられた。大國魂(おおくにたま)神社(じんじゃ)のことだよ。
741(天平(てんぴょう)13)(ねん)聖武(しょうむ)天皇(てんのう)国分寺(こくぶんじ)建立(こんりゅう)(みことのり)を出した。(くに)ごとに、(そう)()金光明(こんこうみょう)四天王(してんのう)護国之寺(ごこくのてら)と、(あま)()法華(ほっけ)滅罪之寺(めっさいのてら)をつくろうというのだ。武蔵(むさし)国分寺(こくぶんじ)は、国府(こくふ)(きた)(がわ)(いま)国分寺市(こくぶんじし)()てられた。
武蔵(むさし)国分寺(こくぶんじ)(かわら)文様(もんよう)種類(しゅるい)豊富(ほうふ)で、奈良(なら)時代(じだい)のお(てら)(なか)では(ぐん)をぬくという。ここにも、高句麗(こうくり)百済(くだら)新羅(しらぎ)などの渡来人(とらいじん)技術(ぎじゅつ)がいきているらしい。(金光明(こんこうみょう)四天王(してんのう)護国之寺(ごこくのてら)=国分寺(こくぶんじ)法華(ほっけ)滅罪之寺(めっさいのてら)=国分(こくぶ)尼寺(にじ)

武蔵国(むさしのくに)あれこれ

江戸時代前の武蔵国

漢字の書き表し方もさまざまなのね ふえていった武蔵国(むさしのくに)(ぐん)
(はじ)め、武蔵国(むさしのくに)(ぐん)豊島(としま)荏原(えばら)橘樹(たちばな)久良岐(くらき)(久良)、都筑(つづき)多摩(たま)(多麻)、足立(あだち)入間(いるま)比企(ひき)横見(よこみ)埼玉(さいたま)大里(おおさと)男衾(おぶすま)幡羅(はら)榛沢(はんざわ)那賀(なか)(那珂)、児玉(こだま)賀美(かみ)秩父(ちちぶ)の19(ぐん)だった。
それが、716(霊亀(れいき)2)(ねん)5(がつ)高麗(こま)(ぐん)が、
758(天平宝字(てんぴょうほうじ)2)(ねん)8(がつ)には新羅(しらぎ)(ぐん)(のちの新座(にいざ)(ぐん))が(あたら)しく(もう)けられた。
さらに、江戸(えど)時代(じだい)(はじ)(ごろ)には、下総国(しもうさのくに)葛飾(かつしか)(ぐん)の一()武蔵国(むさしのくに)編入(へんにゅう)最終的(さいしゅうてき)(ぐん)(かず)は22になった。

渡来人(とらいじん)()んだ武蔵国(むさしのくに)
日本書記(にほんしょき)』の684(天武(てんむ)13)(ねん)5(がつ)のところに「百済(くだら)からの渡来人(とらいじん)武蔵国(むさしのくに)安置(あんち)した」という記事(きじ)がでてくる。
716(霊亀(れいき)2)(ねん)5(がつ)には、大和(やまと)朝廷(ちょうてい)駿河(するが)より(ひがし)の7か(こく)高麗人(こまひと)高句麗(こうくり)からの渡来人(とらいじん))1、799人を武蔵国(むさしのくに)移住(いじゅう)させた。(高麗(こま)(ぐん)設置(せっち)
758(天平宝字(てんぴょうほうじ)2)(ねん)8(がつ)には、新羅(しらぎ)渡来人(とらいじん)74人が武蔵国(むさしのくに)移住(いじゅう)。(新羅(しらぎ)(ぐん)設置(せっち)
また多摩(たま)(ぐん)狛江郷(こまえごう)高麗人(こまひと)(ひら)いた(むら)(つわ)わるし、(きぬた)世田谷区(せたがやく))、神代(じんだい)調布市(ちょうふし))、牟礼(むれ)三鷹市(みたかし))の地名(ちめい)も、渡来人(とらいじん)(かか)わりが(ふか)いという。
これらの人々(ひとびと)(すす)んだ技術(ぎじゅつ)知識(ちしき)をもって、開発(かいはつ)をすすめていった。台東区(たいとうく)浅草寺(せんそうじ)調布市(ちょうふし)深大寺(じんだいじ)も、渡来人(とらいじん)()てたとも()われるんだよ。

防人(さきもり)をだした武蔵国(むさしのくに)
防人(さきもり)というのは、古代(こだい)(とう)新羅(しらぎ)侵入(しんにゅう)(ふせ)ぐのに、九州(きゅうしゅう)()かれた兵隊(へいたい)だ。大化改新(たいかのかいしん)(みことのり)(はじ)めて()える制度(せいど)全国(ぜんこく)兵士(へいし)(なか)から3(ねん)交替(こうたい)(えら)ぶ。装備(そうび)や、ゆきかえりの食料(しょくりょう)自分(じぶん)用意(ようい)しなければならず、(たび)途中(とちゅう)(たお)れて()(もの)(おお)かったとか。それが730(天平(てんぴょう)2)(ねん)からは東国(とうごく)兵士(へいし)(かぎ)られるようになった。延喜(えんぎ)(ころ)(901~922)には()いも同然(どうぜん)になったが、それまでは武蔵国(むさしのくに)農民(のうみん)(おお)きな負担(ふたん)だった。
万葉集(まんようしゅう)(まき)(だい)二十にはこうした防人(さきもり)たちが家族(かぞく)たちとの(わか)れのつらさなどを()んだ(うた)がのせられている。(した)(うた)信濃国(しなののくに)からの防人(さきもり)のものだけれどね。
「からころむ、(すそ)()りつき()()らを ()きてぞ ()ぬや おも()しにして」
(ころも)のすそに()りついて()()どもたちを(のち)(のこ)して()てしまったよ。母親(ははおや)もいないのに。)

(むらさき)(あかね)武蔵国(むさしのくに)
古代(こだい)から9~10世紀(せいき)(ごろ)まであった(ぜい)のひとつに「調(ちょう)」というものがある。これは、その地方(ちほう)生産物(せいさんぶつ)(おさ)める税金(ぜいきん)なんだ。武蔵国(むさしのくに)調(ちょう)(あさ)(ぬの)薬草(やくそう)(かたな)(うま)(むらさき)(あかね)などがあがっている。なかでも(むらさき)(あかね)は、奈良(なら)京都(きょうと)(よろこ)ばれた。(むらさき)()からしぼった(しる)()められた(ころも)貴族(きぞく)などの身分(みぶん)(たか)(ひと)()につけた。(あかね)(くすり)赤色(あかいろ)染料(せんりょう)になった。

国のかたちって変わっていくんだね

参考(さんこう)にした(ほん)

日本史(にほんし)辞典(じてん)
武蔵(むさし)
平凡社(へいぼんしゃ)大百科(だいひゃっか)事典(じてん)
萬葉集(まんようしゅう)私注(しちゅう)九」
角川(かどかわ)地名(ちめい)大辞典(だいじてん)東京都(とうきょうと)埼玉県(さいたまけん)神奈川県(かながわけん))」
国史(こくし)地名(ちめい)大辞典(だいじてん)
古代(こだい)武蔵(むさし)()む」
古代(こだい)地名(ちめい)語源(ごげん)辞典(じてん)
広辞苑(こうじえん)
「わが(まち)歴史(れきし) 府中(ふちゅう)
「ホームアトラス日本(にっぽん)列島(れっとう)
区分(くぶん)地図帳(ちずちょう)東京都(とうきょうと)埼玉県(さいたまけん)神奈川県(かながわけん))」

小平市に関すること
1.小平市内めぐり 2.小平れきし年表・小平の街道
4.探検!郷土資料室 5.みんなの町のなまえ
6.小平の鉄道の歴史 8.わたしたちの小学校
9.小平はじめて物語 10.戦争と小平
13.小平こだいらの道 14.小平歳時記
15.小平の新田 16.古い地名
19.公園に行こうよ! 26.小平のごちそう うどん
36.ぼくらの町の仕事(1)こだいらの農業 37.ぼくらの町の仕事(2)こだいらの商業
多摩に関すること
12.多摩戦国絵巻 18.多摩の絹の道 シルクロード
20.風雲!新選組 21.楽しい施設ガイド
25.東京のできるまで 27.神奈川県から東京府へ多摩移管百年うそ?ほんと?クイズ
29.多摩の芸能 32.八王子千人同心多摩をゆく
35.多摩の酒造 39.江戸時代の東京 文化文政(1800年代初め)の三多摩編
江戸・東京に関すること
23.幸運招来! 東京七福神めぐり 24.東京の水道
28.江戸をたのしむ 30.わたしのまちの木・花・鳥とシンボルマーク
38.江戸時代の東京 文化文政(1800年代初め)の特別区編 40.花の江戸城 Part1
41.花の江戸城 Part2  
玉川上水・小金井桜に関すること
3.玉川上水をしりたい 7.玉川上水とあそぼう!
17.満開!小金井桜 31.野火止用水をゆけば
その他
11.武蔵武士 22.コレラが町にやって来た
33.これが武蔵国だっ! 34.地震にそなえて

ページトップへ