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蔵書検索

図書アラカルト 平成3年~平成7年

「図書アラカルト」は図書館に所蔵している本を、できるだけ多くの方に紹介するために、昭和56年4月から平成23年12月まで市報こだいらに連載していたものです。(市報未掲載分も収録)

テーマごとに図書館職員が選んだ一般書・児童書を紹介しています。

なお、内容は市報掲載(未掲載分については作成日)当時のものです。


本の森への誘い中学生に贈る物語の世界(平成7年12月20日号掲載)

『うす灯(あかり)』

田村理江作 東逸子画 偕成社

いつもと違う角を曲って道草すると、<うす灯>というこっとう屋が見えてくる。そこは何かを探していたり、何かを手放そうとしていたりする人々が訪れる所。そして時折、伝えられぬ思いを持つ人間がやって来る。使われる小道具が不思議で、すてきな連作7編。

『クレージー・バニラ』

バーバラ・ワースバ作 斉藤健一訳 徳間書店

14歳のタイラーは孤独だった。心の通い合わない家族の中で、彼は野鳥の写真を撮ることにのめり込んでいく。ある日、夢を着実に追っている少女に出会ったことから、タイラーは変わっていくのだった。

『西の魔女が死んだ』

梨木香歩作 楡出版

まいは中学校に入学したばかり。ぜんそくの発作が引き金になり、発作がおさまっても学校に足が向かなくなってしまう。やがて、まいはイギリス人である祖母との生活によって、いやされる自分を発見していく。

『ホビットの冒険』

J.R.R.トールキン作 瀬田貞二訳 寺島竜一絵 岩波書店

引っ込み思案のホビット小人族のビルボが、竜に奪われた宝を取り返す旅に誘い出され、冒険の旅へと出発する。ゴブリンや大グモなど次々と降りかかる危機。壮大なファンタジーの世界。

『空色勾玉(そらいろまがたま)』

荻原規子作 福武書店

国家統一をもくろむ「光」と、土着の「闇」とが激しく争う古代の乱世。空色勾玉に導かれる少女の運命。神々の規範からようやく解き放たれつつある最初の人々の喜びと苦悩を鮮やかに描く。

『タランと角の王』

ロイド・アリグザンダー作 神宮輝夫訳 評論社

武勲にあこがれる少年タランは、思いがけずに巻き込まれた冒険の数々から、真の生き方を学んでいく。伝説に彩られた神秘と魔法の世界で、善と悪、生と死などを描く本格ファンタジー。全5巻の大作、プリデイン物語の第1巻。

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日本の伝統美 写真集(平成7年11月20日号掲載)

『印籠(いんろう)』

シャンプー=コレクション 京都書院

時代劇映画の中には小道具としてたびたび登場する印ろうですが、美術品として見たとき、意匠・技法・形態などにさまざまな趣向が凝らされていることがわかります。本書はスイス人のシャンプー夫妻が、戦前日本に滞在中に収集した印ろうのコレクションの中から313点を取り上げ、写真図版と解説を載せたものです。一つ一つの小画面に描かれた自然や動物、物語の世界は、精巧な工芸品としての印ろうの存在を強調しているようです。

『万祝(まいわい) 黒潮が育てた漁民芸術の華』

長塚誠志写真 小島孝夫〔ほか〕解説 岩崎美術社

「まいわい」とは大漁の際、船主が乗り手たちにお祝いとして配った漁師の晴れ着のことで、その鮮やかな色彩の衣装は日本独特の漁民芸術と言われるものです。本書はこの万祝に焦点を当て、その歴史、風俗そして美術品としての面からも豊富な写真とともにまとめています。江戸時代より昭和30年代まで千葉県下の漁村を中心に伝えられたこの漁民独自の文化である万祝は、近代漁業への転換と共に急激に失われていきます。藍色の地に極彩色の鶴亀や宝船、高砂などバラエティーに富み、めでたい図柄を鮮やかに染め上げた万祝姿は各地の漁村の風物詩でしたが、今は見ることも無くなりました。珍しい日本の伝統芸術を収めた1冊と言えます。

『伊勢神宮 日本文化の起源と創造』

石元泰博写真 岩波書店

7世紀末に建てられて以来、1千3百年にわたり、ほぼ20年ごとに社殿の建て替えを行うという手法で、古来の様式を守り続けてきた伊勢神宮。それは日本建築の原型とも言われています。本書は平成5年の第61回の遷宮のときに内宮・外宮をはじめ、その簡素明快な建築の全容を撮影し、現代を代表する建築家、建築史家の論文とともに収録しています。「御正殿は何と言っても建てられたその時が一番美しいんですよ」との言葉からも、伊勢神宮の再生した姿をまとめた貴重な写真集と言えるでしょう。

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秋を探そう(平成7年10月20日号掲載)

秋の空は高く澄み、自然の中へ出かけたくなりますね。今回は、身近な秋を見つけにいきましょう。

『野山でたのしむ秋の草花 母と子の植物ガイド』

河野正樹文 大室君子絵 さ・え・ら書房

ハイキングなどで野山に出かける機会も増える季節です。この本には77種の草花が載っています。畑の周り、山のふもとなど場所ごとに精密な絵と名前の由来や料理方法などが書かれた解説文が楽しく読めます。地味な本ですがぜひ手に取ってみてください。

『紅葉のふしぎ』

佐藤有恒作 あかね書房

秋の野山を彩る紅葉の美しさは格別です。ケヤキの木の1年を追いながら、紅葉の仕組みを解き明かします。葉の中の色素を取り出してみる実験や葉の細胞の中の色の変化を的確な写真で紹介しています。

『虫たちのコンサート』

松山史郎文と写真 小川宏文と写真 大日本図書

秋の夜長をにぎわせる虫たちの音楽は、メスを呼ぶためにオスたちが奏でるコンサートです。羽をこすり合わせて音を出すコオロギやスズムシ、後ろ足と羽をこすり合わせて音を出すナキイナゴたちの姿を詩情豊かにカメラがとらえています。作者の1人松山史郎さんは、小平市在住の生物生態写真家です。

『林と虫たちの一年』

海野和男文・写真 岩崎書店

山梨県北部の雑木林の1年。10月から11月にかけての雑木林の紅葉は日ごとに赤や黄の色が増えていきます。その様を同じ場所で日を追って、季節ごとに撮影することによって克明に伝えてくれています。

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映画誕生百年に映画を読む(平成7年9月20日号掲載)

映画が生まれて今年で百年を迎えました。読書の秋を機会に、ぜひ映画の本を読んでみませんか。

『淀川長治映画塾』

淀川長治著 講談社文庫

まるで映画と血肉を分けているかのような著者。映画に対するおびただしくも詳細な知識、くめども尽きぬ深い愛情。どの著書でもそれらに触れることができますが、とりあえず、新しいこの1冊をお勧めします。アテネフランセ文化センターでの10年間にわたる「映画塾の講義」をまとめたものです。

『映画的なあまりに映画的な美女と犯罪』

山田宏一著 早川書房

好きな女優がだれかによって、その人の映画的趣味のよしあしがわかってしまうことも?ひそかにセンスを磨くには、最適の本です。グレース・ケリー、ローレン・バコール、キム・ノヴァクら美女たちを通して、主にハリウッドの犯罪映画が語られ、一つの映画史を見るに至ります。

『映画術』

ヒッチコック著 トリュフォー著 山田宏一訳 蓮実重彦訳 晶文社

「美女と犯罪」とくればヒッチコック。いまだにCMに登場するほど愛されている監督です。フランソワ・トリュフォーも彼に心酔する一人で、1965年に、ヒッチコックへの50時間にも及ぶインタビューを試みました。そのやりとりを、多数のスチール写真とともに編んだこの本は、アメリカの映画学校や監督のためのワークショップで、教科書として使われていたとか。

『映画巡礼』

蓮實重彦著 マガジンハウス

映画を見に行くのに、電車やバスではなく、ジェット機を利用するのが自然なことになってしまった人、それが蓮實教授です。ロッテルダム、香港、トリノ、山形、レニングラードの映画祭を文字どおり飛び歩いて映画を見る それはもう「娯楽」とは遠くかけ離れた、まさしく「巡礼」の旅です。ここまで映画に引きずり回されて、彼はきっと本望なのでしょう。

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勉強が楽しくなる本 中学生の皆さんへ(平成7年8月20日号掲載)

興味を持つと勉強は一段と楽しくなります。そのきっかけを作ってくれる本を紹介します。

『ベンキョーなんか、けっとばせ』

森毅著 創隆社

まずは、この本で心のウォーミングアップをしましょう。「たかが受験なんてどうということないさ、ぐらいの気分になったほうが、受験というものは、うまくいく。深刻になるほど、通りにくくなる」「合格はビリでよい」など、物事をちょっと違う角度から見て、こんな世界もあるんだよと教えてくれ、柔軟な物の見方によって、リラックスした生き方を教えてくれる楽しい本です。

『埋もれた世界』

A・T・ホワイト作 後藤冨男訳 岩波書店

トロヤ、エジプト、メソポタミア、マヤの4つの地方の発掘物語です。埋もれた遺跡を掘り起こし、驚くような文明を現代によみがえらせた人々の、夢とロマンに満ちあふれた物語です。まるで宝捜しの冒険物語を読むように引き込まれてしまいます。世界史への興味をいやが上にもかきたててくれる本です。

『死の艦隊』

メノ・ホルスト著 関楠生訳 マツイユタカ画 学習研究社

マゼランの航海記です。五隻の船でスペインの港を出港しますが、出航後まもなく起こる反乱を皮切りに、手に汗を握る事件の連続で、苦闘の航海となります。「死の艦隊」と呼ばれたほど、次々に乗組員が死んでいきます。まるで波乱万丈の海洋大冒険小説を読んでいるようです。読み終わったときは、すっかり世界地図のとりこになっていることでしょう。

『ならの大仏さま』

加古里子文・絵 福音館書店

東大寺の大仏建立の過程を詳細な図を利用して説明しています。歴史的な背景もていねいにわかりやすく記述されています。楽しみながら日本史が学べ、修学旅行の自由研究にも最適です。

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子どもといっしょに楽しもう(平成7年7月20日号掲載)

さあ、夏休み。親子でいっしょに本を楽しみませんか。話し合ったり、おしゃべりしたり、一冊の本を仲立ちにして、そんなひとときをどうぞ。

『旅の絵本』

安野光雅作 福音館書店

ヨーロッパやイギリスの自然や街並みを背景に、繊細な筆遣いで、旅の楽しさを描き出した文字のない絵本。美しい風景や街並みの中に、隠し絵、だまし絵がちりばめられていて、不思議と謎の世界、はるかな歴史をたどる旅へと、読者を誘ってくれるのです。児童文学の主人公たち、「アリス」や「ピーターパン」、ミレーやゴッホの絵、映画の一場面、歴史的な人物や事件、有名な建造物の数々が絵の中に隠されています。大人のほうが探すのに夢中になってしまうかもしれません。親の知識と教養を披露できるチャンスですね。

『かがくあそび ふしぎをためすかがく図鑑』

フレーベル館

科学遊びを豊富なカラー写真で紹介した、見ているだけでも楽しめる図鑑。遊びの感覚で実験でき、材料も身近なものでできる簡単なものばかりです。朝顔の花と葉で作る花びら染め、塩の結晶のアクセサリー、空気や水でできる実験など、夏休みの自由研究にもピッタリです。

『母さんの小さかったとき』

越智登代子文 ながたはるみ絵 福音館書店

「お母さんは子どものころ、どんなことして遊んだの」と、聞かれたことはありませんか。この本は、30年ほど前の町に住んでいた子どもたちの誰もが経験した一時期を、イラストで鮮やかに再現してくれました。遊び、手伝い、学校、駄菓子屋、そして日々の生活の一コマ。母さんの遊びは、ゴム跳びやリリアン編み。楽しみは「黄金バット」の紙芝居。台所の手伝いもよくした子ども時代。親にとっては懐かしい思い出ですが、子どもにとっては新鮮な驚きを感じるのではないでしょうか。ぜひ、親子で語り合ってみてください。姉妹編として『父さんの小さかったとき』もあります。こちらは、40年ほど前の地方都市を舞台にして、男の子たちの遊びや生活が生き生きと描かれています。

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戦後日本を生きた人々(平成7年6月20日号掲載)

戦後と共に生き、「昭和」の終わりに殉ずるかのように相次いで亡くなった3人の表現者を取り上げた本を紹介します。

『小説家大岡昇平』

松元寛著 東京創元社

昭和63年12月に亡くなった戦後を代表する作家、大岡昇平を描いた評論です。ここでは、作家がその時々の社会の流れに対してとった独自なスタイルを、3つの時期を中心にして論じています。まず、終戦直後の「俘虜記」など一連の作品を貫く「復員者」としての視点、次に昭和36年に話題を呼んだ現代かなづかいへのこだわりの意味、そして遺作となった作品「堺港攘夷始末」などに見られる真実の歴史記述の問題。筆者の切実な思いが、行間から伝わってくる評論になっています。

『手塚治虫のタカラヅカ』

中野晴行著 筑摩書房

平成元年2月に亡くなった、戦後の漫画表現に一大革命を起こした人物の伝記。本書では、手塚漫画の華麗な世界の秘密を、彼が幼少年期を過ごした街 宝塚と戦争体験に探っています。当時の写真や、手塚作品を数多く掲載し、「タカラヅカ」が彼に絶大な影響を与えたことを、手に取るようにわからせてくれる本です。

『美空ひばり 時代を歌う』

大下英治著 新潮社

平成元年6月、52歳で亡くなった戦後最大の流行歌手の伝記小説。すい星のように登場し、「天才少女歌手」の名をほしいままに、戦後日本と共に歩み続けた「美空ひばり」。しかし、その栄光の陰で、家族とのしがらみの中に苦悩する「加藤和江(ひばりの本名)」。著者はさまざまな秘話を通して、その人間像に迫り、その中に戦後を生き抜いてきた私たち日本人の姿をも浮かび上がらせます。なお、本書は単行本と文庫本の2つの版があります。

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最近の参考図書から 豊富な情報の見方・使い方(平成7年5月20日号掲載)

情報化社会といわれる今日、百科事典と同じくらい、あるいはそれ以上に多くの情報を持ち、かつその情報をコンパクトにまとめた図書の必要性が高まっています。そこで今回は、最近出版された図書の中から、豊富な情報を使いやすく1冊にまとめた参考図書を紹介します。

『マイペディア<新訂>』

平凡社

世界大百科事典(平凡社)に匹敵する5万6千項目を1冊に収めたもので、50音順に配列された各項目は、それぞれが簡潔にまとめられています。1つの事柄を詳しく調べたいという場合には十分とは言えませんが、日常のさまざまな場面で必要な知識にこたえられるだけの項目は網羅されています。現代社会のあらゆる分野の基礎的な情報、新しい事項、データなどが内容となっています。巻末には、日本国憲法、児童憲章、国際連合憲章などの基本資料や、世界各国の面積・人口などの最新の資料も収められており、忙しい現代人にとっての手軽な情報源と言えましょう。

『クロニック世界全史』

樺山紘一編集 講談社

クロニック(年代記)の標題が示すように、本書は紀元前1万年から現代までの出来事を年代順に年表・記事・図版(写真)で構成したものです。1千3百ページにおよぶ情報は、読む年表とでも言うべきもので、世界のあらゆる国・地域、あらゆる時代の歴史的な事柄をまとめたものです。紀元前から18世紀頃までは、2年から40、50年の間隔で出来事がまとめられ、18世紀後半からは1年ごとにまとめられるというように、時代に応じて編集されています。そのほかに世界194の国と地域の歴史を収めた、国別に見る世界全史、主要地域の王朝興亡図、主要王家の系図、主要国の統治者一覧など、世界の歴史を調べるうえで欠かすことの出来ない資料も収録されています。読んでおもしろく、調べものにも役立つ資料として利用をお勧めします。

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子どものための美術の本(平成7年4月20日号掲載)

子どもといっしょに、美術館や博物館へでかけることはありますか。最近、子ども向けの美術の本の出版が多くなっていますのでご紹介しましょう。

『むかし、レオナルド・ダ・ヴィンチが・・・』

シルヴィー・ラフェレール〔ほか〕編著 大西昌子訳 大西広訳 福音館書店

レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」は、世界で最も有名な絵といってよいでしょう。でも、あまりにも有名なレオナルド・ダ・ヴィンチは、伝説の中の人物のようです。この本では彼の本当の姿を知ってもらい、どのようにして豊かですばらしい作品を生み出していったのかを解き明かします。終わりの方は、クイズになっています。挑戦してみてください。

『描かれた動物たち』

ウエンディ・リチャードソン編 ジャック・リチャードソン編 若桑みどり監訳 佑学社

この本には、大昔に洞くつに描かれた壁画から現代の絵まで、いろいろな動物の絵を集めてあります。それぞれの画家たちが、どんな気持ちで動物たちに向き合って描いたのか、絵を見ながら読者がいっしょに考えていく本です。この本は、「イメージの世界」というシリーズの1冊。ほかに、「水」、「描かれた家族」などがあります。

『すばらしい彫刻』

かこさとし作 偕成社

小さい読者のための彫刻の入門書。エジプトのスフィンクスから始まり、ビーナス、日本の仏像、ミケランジェロやロダンの作品などをやさしい言葉で解説しています。彫刻という目で見える形を通して、目に見えないもののすばらしさをとらえることの大切さを教えてくれる本です。同じ著者による「うつくしいえ」という本も出版されています。

『リネア モネの庭で』

クリスティーナ・ビョルク文 レーナ・アンデション絵 福井美津子訳 世界文化社

この本は、モネにひかれた北欧の少女リネアが、モネの水蓮の池を訪ねる絵本の形をとっています。モネの庭でリネアは、モネの家族の話を聞き、印象派の絵について学びます。写真やモネの絵でつづるかわいらしい本です。

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春の訪れを感じて(平成7年3月20日号掲載)

桜の季節も間近です。春を待ち焦がれるのは、どこの国でも同じです。そんな思いのあふれている絵本などを紹介します。

『リーベとおばあちゃん』

ヨー・テンフィヨール作 ハーラル・ノールベルグ絵 山内清子訳 福音館書店

小さな女の子リーベが住んでいるのは、ノルウェーの谷間の村。冬は日がささず、リーベは病気のおばあちゃんに太陽を見せたいと願う。ちょうどその日は復活祭。リーベがおばあちゃんのために摘んだ金色のふきたんぽぽが、春の訪れと愛のやさしさを運んでくれました。

『ウルスリのすず』

ヘンツ文 カリジェ絵 大塚勇三訳 岩波書店

スイスの春を迎える祭“鈴行列”を題材にした絵本。ウルスリは元気な男の子。大きな鈴を手に入れて、行列の先頭を進みたいのです。そのために、まだ雪の深い山の小屋までひとりで出かけてしまいます。アルプスの景色も鮮やかに、ウルスリの冒険が語られます。

『たいへんなひるね』

さとうわきこ作・絵 福音館書店

4月になったら、いつも外で昼寝をするばばばあちゃん。ところが外は雪。腹を立てたばばばあちゃんは、らっぱを吹き鳴らし、豪快に春を呼び込みます。

『ふわふわしっぽと小さな金のくつ』

デュ・ボウズ・ヘイワード作 マージョリー・フラック絵 羽島葉子訳 パルコ出版

イースターに欠かせないのがこのお話の主人公にもなっているイースター・バーニー。幸運を呼ぶ卵を配るうさぎです。うさぎは生命や多産の象徴、卵は復活の象徴といわれています。サーモンピンクがひときわ鮮やかな美しい絵が、春の喜びを伝えてくれます。

『日本じゅうの4月1日』

4月1日しらべ委員会編 福音館書店

日本は南北に細長い国。北海道と九州では桜が咲き出す日は2か月も違います。この本は、日本のある一日、4月1日の自然の様子を観察したものです。日本列島を一日で駆け巡る自然体験の旅へ、あなたもどうぞ。

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多摩の街道を読む(平成7年1月20日号掲載)

道をたどることによって、土地の歴史や文化そして生活の様子などが見えてきます。また、小平市を通る街道だけでも鎌倉街道、青梅街道、五日市街道の3本を数えます。今回はこれに甲州街道を加えた4本の街道を中心に、多摩の街道について書かれた本を紹介します。

『五日市街道(歴史の道調査報告書 第一集)』

東京都教育委員会編 東京都教育委員会

街道の概要、道筋の確定と現状、沿道の史跡・文化財など、史料編からなる調査報告書ですが、写真や図版を多く使っていてわかりやすく構成されています。

『多摩の街道』

津波克明著 けやき出版

前述の4街道を中心に11本の街道と多摩川を取り扱い、街道沿いの名所旧跡などを歩くために適したガイドブックです。

『青梅街道』

中西慶爾著 木耳社

「小平の昔と今」「志木街道と小金井桜」「小川新田と小川家」など、街道沿いのエピソードをつづった紀行文です。

『鎌倉街道』

栗原作道・蜂矢敬啓著 有峰書店

鎌倉街道にまつわる戦乱の歴史や、史跡の解説書です。

『青梅街道』

山本和加子著 聚海書林

石灰の輸送道として開かれた江戸時代の初期から、軍事施設が数多く存在した戦前までの青梅街道を中心に、多摩の歴史が描かれています。

『甲州街道』

中西慶爾著 木耳社

「青梅街道」の姉妹編で、甲州街道にまつわるエピソードをつづった紀行本ですが、なかでも武田氏と甲陽鎮撫隊については章を立てて詳しく説明されています。

『甲州街道を歩く』

横山吉男著 東京新聞出版局

日本橋から小仏峠までの街道沿いの史跡を紹介したガイドブックです。

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こどものための聖書(平成6年12月20日号掲載)

国際交流が深まる中、西洋の文明を理解するうえで、どうしても知っておく必要のある聖書を取り上げてみました。聖書を知ることで、文学、映画、美術、音楽などの観賞にもより深い理解を得ることと思います。特に子ども向けの本は読みやすいので、大人もいっしょにクリスマスを機会に読んで教養を高めてみるのもよいのではないでしょうか。

『聖書物語』

小出正吾編 あかね書房

旧約・新約聖書が1冊になっています。主な物語が、すっきりした構成でまとめられていて、とても読みやすく小学生も楽しめます。

『旧約聖書物語』

ウォルター・デ・ラ・メア作 阿部知二訳 小松崎邦雄絵 岩波書店

アダムとエバの物語や、ノアの箱舟、モーゼの十戒の話など、旧約聖書に基づいて書かれた物語です。作者は、イギリスのすぐれた詩人で、幻想的な美しさの漂う文学作品となっています。

『はじめての聖書I・II』

小塩節〔ほか〕訳 こぐま社

Iが古くからの約束、IIが新しい約束になっています。子どもにもわかりやすい言葉で訳された聖書です。物語にはなっていませんので、子どもに理解させるには大人の助けが必要になるかもしれません。

『キリスト物語』

浜田廣介作 初山滋画 冨山房

新約聖書に基づいたキリストの物語です。作者の創作的肉付けがされています。また、味わい深いさし絵が雰囲気を盛り上げています。

『聖書名画ものがたり』

河津千代著 ほるぶ出版

旧約編と新約編の2冊で構成されています。この本も聖書物語ですが、さし絵に、その場面の有名な絵や彫刻が使われ、その簡単な説明も付されています。よく目にする絵画や彫刻が、この物語であったのかと改めて知るなど、つきない興味がわいてくる本です。

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昔話の持つ力(平成6年11月20日号掲載)

今回は、幼児から小学生までも引き付ける昔話の本を紹介します。昔話は、語り継がれてきた文学です。語りの場がなくなりつつある今日、ぜひ子どもに読んであげてほしいものです。寝る前のひととき、お話の楽しさを親子で味わってみてください。

『日本昔話百選』

稲田浩二著 稲田和子著 三省堂

日本を代表する昔話が集められています。ことばは、語られてきた方言のもつ響きを損なわないように、気をつけて共通語に近づけています。地味な本ですが、素朴な味わいがあって、こんな昔話をなぜ子どもが喜ぶのかびっくりさせられることがあるほどです。

『子どもに聞かせる世界の民話』

矢崎源九郎編 実業之日本社

世界各国の珍しい話が多く、バラエティーに富んでいます。動物が知恵を働かせる話、ものの始まりの話、正直者が得をする話など8つの項目ごとに81の昔話が載っています。

『イギリスとアイルランドの昔話』

石井桃子編・訳 J・D・バトン画 福音館書店

おなじみの「三びきの子ブタ」、「ジャックとマメの木」など30の昔話が載っています。吟味された訳は華やかではありませんが洗礼され、昔話のもつ不思議な世界をよく伝えています。J・R・バトンの絵もしゃれた味わいで、お話の理解を助けるものになっています。

『みどりの小鳥(イタリア民話集)』

イタロ・カルヴィーノ作 河島英昭訳 岩波書店

イタリア民話において第1級の作者・訳者による一冊です。日本ではあまりなじみのない民話が多いのですが、一度聞いたら忘れられないお話ばかりです。特に男の子たちが好きな「恐いものなしのジョバンニン」のような恐ろしい話、小さな子どものためのお話など6つのグループに分けて34の話が入っています。

『子どもに語るグリムの昔話(全6巻)』

佐々梨代子・野村ひろし訳 こぐま社

「赤ずきん」などに代表されるグリム兄弟による昔話は、常に絵本になったりして私たちには身近な存在です。たくさんのグリム昔話の本が出版されていますが、幼い子どもに読んであげると、この本の特徴である耳からことばが入って、きちんとお話の世界が想像できる訳のよさがわかります。

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野球を読むアメリカのスポーツライティングから(平成6年9月20日号掲載)

プロ野球は、いつでも人気の中心でした。ところが昨年からは、Jリーグにとって代わられてしまいました。かげりゆくプロ野球 いいや、まだまだ野球がいちばん、という声も少なくありません。もうじきペナントレースは幕を閉じますが、野球熱愛派なら本のページを開いて野球を読んでみてはいかがでしょうか。野球を読むなら、やはりアメリカです。

『シーズン・チケット』

ロジャー・エンジェル著 玉木正之訳 東京書籍

スポーツライターは文筆を志す者のあこがれの的。著者は「スポーツライティングの詩人」とうたわれる大御所です。1983年から87年までの各シーズンを克明に追った本書は、大リーグの魅力を余さず伝えてくれます。今は日本でも衛星放送で大リーグの試合を見ることができますが、この本を合わせて読めば、おもしろさがぐっと深みを増すことでしょう。

『十二人の指名打者』

ジェームズ・サーバーほか著 稲葉明雄ほか訳 文春文庫

スポーツライターから作家に転身する例は珍しくありません。この小説集の12人の作家のうちではポール・ギャリコとデイモン・ラニョンがその転身組です。一方、ジェイムズ・サーバーやジョン・オハラのような有名作家も、野球小説を書いてしまうというところが野球の本家本元のアメリカたるゆえんです。笑える作品、人情にホロリとさせられる作品、いずれも傑作ぞろいです。

『ひと夏の冒険』

ロジャー・カーン著 小林信也訳 東京書籍

もうひとりのロジャーであり、もうひとりのスポーツライティングの大立者カーンが、マイナーリーグの超オンボロ球団ブルーソックスのオーナーになってしまったところから物語は始まります。球場には電気代が未払いのためライトもつかず、移動は小学生用のスクールバス。そんな彼らが快進撃をはじめた。はたして優勝するのかどうか。ノンフィクションだということを忘れそうになるほど、のめり込める一冊です。

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家庭で楽しむビジュアル本(平成6年8月20日号掲載)

最近、見て楽しめるビジュアルな本が、たくさん出版されています。児童コーナーでも、すばらしいカラー写真や美しいイラストを使った、ビジュアル本がそろっています。子どもから大人まで楽しめる本もあり、ぜひ家族でご覧になってみてください。

『ビジュアル博物館』

同朋舎出版

このシリーズは、自然、歴史、科学、工芸、美術などの世界をすばらしいカラー写真を多用して紹介しています。例えば、32巻の『イヌ科の動物』では、イヌ科のさまざまな動物の比較と、その進化の跡を、骨格などのクローズアップ写真でたどっています。珍しいリカオンやディンゴの写真があるかと思えば、なんとスヌーピーもいました。彼がビーグルの雑種だというのはご存知でしたか。その他、『恐竜』『スポーツ』『古代エジプト』など、テーマは多岐にわたっており、誰でも、興味をひかれる一冊はありそうです。

『世界の建物たんけん図鑑』

パオロ・ドナティイラスト フィリップ・ウィルキンソン文 内田加奈子訳 集文社

ローマのコロッセウム、パリ・オペラ座など、その外観は写真で目にしたことはありますが内側はどうなっているのでしょう。古代から現代までの20以上の、世界中の最高級な建物の内部が、繊細な美しいイラストで再現されています。19世紀に築かれたおとぎの城、ノイシュバンシュタイン城、アジアにある最も美しい建築物のひとつ、タージ・マハールなど、どれも独創的で魅力があります。これらの建築物には、時代背景とともに、作った人々の意思や希望が表現されており、さらに興味がかきたてられてきます。

『今森光彦昆虫記』

今森光彦著 福音館書店

昆虫写真家である筆者が、自分の身近な地域を、何年にもわたって観察した写真記録です。季節ごとの虫たちのさまざまな表情が、連続写真やクローズアップで表現されています。小さな生き物の命の営みが、私たちの想像をはるかに超えて、語りかけてきます。人間も虫もいっしょに生きてこその地球だという思いを強く感じさせられます。同じ著者による『世界昆虫記』、埴沙萠著の『植物記』もあります。

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たのしい科学あそびの本(平成6年7月20日号掲載)

さあ夏休み。教室の外で、驚きや発見に出会う絶好のチャンスです。台所など身近な所にも不思議なことがいっぱいあります。今回は簡単にできる科学あそびの本を取り上げてみました。親子でいっしょに楽しんでください。

『しゃぼんだま』

牧衷構成 関戸勇文・写真 偕成社

夢のあるしゃぼん玉遊びは、みんなが大好きです。大きいしゃぼん玉はどうしてできるのでしょう。花を使って吹いてもふくらむかしら、割れ方はどんなでしょう。美しい写真を使って、実験の方法がわかりやすく説明されています。なにげない遊びから、科学の目がはぐくまれることでしょう。

『卵の実験』

伏見康治著 伏見満枝著 今村昌昭写真 伏見康子画 福音館書店

コロンブスのように、卵をつぶさなくても生卵が立つそうです。本当でしょうか。3個の卵の上に、15キログラムもある水の入ったバケツを置いても、卵はつぶれないそうです。まさかと思いますよね。試してみてください。遊びながら、物理や化学の世界に踏み込んでしまう楽しい本です。

『かわったかわったこまの色』

折井千鶴文 望月操写真 童心社

小学校2年生の千鶴ちゃんは、色の着いた竹とんぼや扇風機がまわるとほかの色にかわることに疑問をもちました。そこでこまに色をつけて実験をはじめました。さまざまな色や模様を組み合わせてたくさんのこまを作りました。そして、いつの間にか色彩の科学の世界に踏み込んでいたのです。いちずな研究の姿勢が感動的です。また自由研究のしかたや、表現方法のヒントにもなる本です。

『科学あそび』

竹村嘉夫写真 江本漾子監修 講談社

いくつもの科学遊びが楽しく紹介されています。どの遊びも身近な材料でやってみることができます。カラフルな写真に誘われて、やってみたいなという意欲がわいてくる本です。

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博物館に行くまえに(平成6年6月20日号掲載)

『分類という思想』

池田清彦著 新潮社

博物館にはいろいろなものが分類され、陳列されています。わたしたちは日常なんの気もなく、この人とは気が合うか、合わないかなどと、物事を分類しながら生きています。分類をすることは、科学の基本になる作業です。本書は、その分類を名づけるという言葉の作用の話から解き起こし、分類することによって、人間は周りのいろんな現象を知るのだと発想の転換に迫ります。その例として、虹が何色に見えるかは世界中で違っている話が出てきて、分類が現象をただ分けるだけの単純なものでないことを教えます。

『ワンダフル・ライフ』

スティーヴン・ジェイ・グールド著 渡辺政隆訳 早川書房

博物館で見る、アンモナイトや三葉虫の化石たち。本書は、カナディアン・ロッキー山中から発見された5億年前の奇怪な化石動物たちが主人公です。はじめ、普通のエビやカニの仲間に分類されていた彼らが、発見から約半世紀後に展開されたH・ウイッティントンら3人の学者による研究で、既存の分類体系のどこにも収まらない、妙に変わった動物たちであったことがわかります。この発見が、ダーウィンの考えた進化の物語をも変える、進化と生命の驚異の物語であることを、グールドは多くの図版を使い、おもしろくわたしたちに伝えます。

『自然保護という思想』

沼田真著 岩波書店

本書は、自然保護が主題ですが、現在、最前線の博物館がどういう目標をたてているのかを知るためにとりあげてみました。それは、建物に展示物を並べれば、それで完成というのではなく、その土地の生態系を、公園を遊び歩いているうちに学べるような、自然公園付きの自然詩博物館であると、千葉県の博物館館長である著者は語ります。また、自然保護の主題のほうも、21世紀に向けての自然との共存法を、みずからの体験を踏まえて説かれ、熱っぽいものがあります。

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美術書の全集(平成6年5月20日号掲載)

美術書は本の中でもビジュアルな点で、他のものと異なり読む楽しさと同時に見る楽しさを味わえるという特徴があります。今回は最近の美術書の中からタイプの違う2つの全集を紹介しましょう。

『日本水墨名品図譜 全5巻』

海老根聰郎編 毎日新聞社

水墨画は中国の唐代に始まり鎌倉時代に日本へ伝えられ、その後やまと絵や浮世絵とかかわりあいながら明治以降の近代日本画にも大きな影響を与えたと言われています。墨の濃淡と筆の抑揚で自然や人物などを描くという手法は、モノトーン芸術として彩色画などと違った趣を感じさせます。本書はこのような日本の水墨画の代表的作品を時代順に収録しています。「水墨画の成立」から「蕪村・大雅の時代」まで、鎌倉・室町から江戸へという時代の中での歴史的な名品を網羅、広く知られている『寒山拾得図』『山水図』(雪舟等揚作)なども解説とともに収められています。また「墨絵のみかた」という入門的な解説から、テーマごとの研究論文まで幅広く収録し、作品を見ると同時に研究書としての役割も果たしています。

『世界広告デザイン全集 全10巻』

ピエ・ブックス

この全集の中には多種多様なグラフィックデザインが盛り込まれています。カタログ、ダイレクト・メール、パッケージ、ポスターなど私たちの日常の中にあるさまざまなデザインが網羅されています。たとえば、「チラシ・グラフィックス」などは、必要な情報を一目で伝えてまたたくまに消えてしまう1枚のチラシデザインを、公演、展示、商品案内など幅広いジャンルから集めています。これだけのものが集まると、チラシ1枚の効果を越えた迫力を感じます。また「ビジネスカード・グラフィックス」は内外のクリエイターによる名刺などの集大成です。一般的にはあまりデザインの対象として考えられていない名刺でも数多くのユニークな作品が作られていることがわかります。一読をおすすめします。

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ともだち(平成6年4月20日号掲載)

春は入園、入学、進級の季節。緊張していた子どもたちも新しい環境に慣れ、楽しく過ごしていることでしょう。おともだちは、できたかな。今回は「ともだち」をテーマにした絵本を紹介します。

『こぎつねコンとこだぬきポン』

松野正子文 二俣英五郎絵 童心社

互いに遊び相手のいない、つばき山のこぎつねと、すぎの木山のこだぬきが友達になりますが、親たちは化かされたらたいへんと遊ばせません。ところがある日、2人が化けっこをして遊んでいるところを見つかってしまい、コンとポンは入れ違ってそれぞれの家で過ごす事に・・・。コンとポンの子どもらしさ、子どもたちを見守る親たちの暖かい気持が伝わってきます。明るくてユーモラスな絵が、お話のあたたかい雰囲気を盛り上げています。

『ピーターのとおいみち』

リー・キングマン文 バーバラ・クーニー絵 三木卓訳 講談社

村から遠く離れた森の中で暮らしているピーターは、猫や犬や動物たちが友達。ピーターは5歳になって学校へ行く日を楽しみにしていました。そしてとうとう5歳になったある朝、学校に向かって遠い道を1人ででかけますが、学校には誰もいません。絵を描いたバーバラ・クーニーはコルデコット賞を受賞している人で、緑と茶色を主にしたやわらかい色調の絵は、さわやかな温かさに満ちています。

『ひっこしした子してきた子』

アリキ作 青木信義訳 ぬぷん児童図書出版

仲よしのピーターが引っ越してしまったロバートは、遊びたい子がいなくてつまりません。けれどもやがて転校生のウィルと友達になり、ピーターに手紙を書いて知らせます。友達との別れ、出会いを通じて成長していく子どもの姿がさわやかです。明るく伸びやかな絵から、子どもたちの日常がみえてくる本です。

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家族のきずな(平成6年3月20日号掲載)

今年は、国際家族年。家族の愛憎をくぐり抜け、精神的に自立していく少年少女の姿を描いた、キャサリン・パターソンの作品を取り上げてみました。

『ガラスの家族』

キャサリン=パターソン作 岡本浜江訳 偕成社

少女ギリーは、あちこちの家をたらい回しにされたあげく、トロッターさんの家に里子としてやってきます。彼女の唯一の願いは、生みの母に引き取られることでした。トロッターさんのお金を盗み出し、母親のところへ行こうとしますが、発覚して失敗に終わります。そのときトロッターさんは、必死でギリーをかばってくれ、ギリーの氷のような心はみるみる解けていきます。やっと本当の家族が手に入ったのもつかの間、別れが待っていました。しかし、愛する喜びを知ったギリーは、つらさに立ち向かって行くのです。軽妙な会話の中に、キラリと人生の真実がちりばめられており、読みやすく、感動的な作品です。

『父さんと歌いたい』

キャサリン=パターソン作 岡本浜江訳 偕成社

ジェイムズの家族は、カントリー・ミュージシャン一家です。ジェイムズは、だれよりも父親が好きでした。ところが、ある日、本当の父親ではないことがわかります。一方、ジェイムズの歌の才能が認められ、一夜にしてスターになります。家族のきずなを発見し、自分の才能を喜びとして開花させていく少年の物語です。全編に音楽があふれ、ジェイムズのボーイソプラノの天子のような声が聞こえてくる、さわやかな作品です。

『海は知っていた』

キャサリン=パターソン作 岡本浜江訳 偕成社

双子の美しい妹は、才能にも幸運にも恵まれ、だれにでも愛され、ルイーズの大切なものまで、何もかも奪ってしまうような気がします。ルイーズは妹を憎み続けます。作者は、よくあるように、姉妹の愛をうたい上げることもなく、心理を深く切り込んで、暗い部分までもさらけ出します。妥協のない結末には、深い人間愛が感じられます。ニューベリー賞受賞作です。

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読んで楽しむ参考図書(平成6年2月20日号掲載)

参考図書は、読むというより、多くの情報が収められている資料から必要な所だけを取り出し、調べものに使うのが一般的な使い方です。今回紹介する本は、もちろん調べるときにも十分役立つものですが、さらに楽しんで読んだり見たりする本として利用できます。

『東欧を知る事典』

平凡社

すでに「アメリカを知る事典」「スペイン・ポルトガルを知る事典」が出版されていますが、その最新刊です。大きく変化していく東欧の今と昔を、その歴史や文化・社会について総合的にまとめています。項目編では東欧に関する人物・事項を50音順に編集し、その一つひとつが広い範囲から取り上げられ、新しい発見に出会うこともたびたびあります。さらに新しい国も含めてまとめた「地名・国名編」は、過去の歴史的背景から、現在の国家感の問題などにも詳しく触れ、現代の東欧世界の状況把握の手助けになると思います。ともあれ、東欧世界の情報を網羅した総合辞典として利用をおすすめしたいと思います。

『ワーズ・ワード 絵でひく英和大図鑑』

ジャン=クロード・コルベイユ著 アリアン・アーシャンボウ著 同朋舎

本書の最大の特徴はイラストと言葉が密接に結びついているところです。日常生活にある事物、動・植物の世界・環境、通信技術や各種のテクノロジーなどわたしたちの現代社会をイラストで描き出し、テーマ別にまとめています。コンピュータ技術を駆使してつくられたイラストは言葉の意味を正確に視覚で把握できるようにカラーの図版になっています。活用法はいろいろありますが、「物を知っているのに名前が分からないとき」、「言葉は知っているのにどんな形かわからないとき」など、それぞれ違った索引などを使うことによって目指すものに到達できます。しかし、それ以外にもただ眺めているだけでも自分のイメージが限りなく膨らみ楽しめるのではないでしょうか。それぞれの活用法でお楽しみください。

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玉川上水(平成6年1月20日号掲載)

中央図書館の1階ロビーに、玉川上水の模型が置いてありましたが、ご覧いただいたでしょうか。この模型は、明治4年の玉川上水を復元したもので、玉川上水縁の花見のにぎわいと、玉川上水の通船の様子が再現されています。御幸町の海岸寺のそばの上水縁には、明治天皇が花見に訪れた記念に植樹された行幸松と行幸松の碑が、海岸寺境内には小金井桜樹碑が建てられていて、この辺が桜の名所だったことがわかります。しかし、玉川上水に船が通っていたことを知る人は意外に少なく、模型を見て驚かれた方もいると思います。玉川上水は、四季折々に美しい自然を楽しませてくれます。落ち葉が散り敷いて見通しがよくなった今の季節に、玉川上水を散策しながら、玉川上水に関する本を読んでみませんか。

『玉川兄弟』

杉本苑子著 講談社文庫

玉川兄弟が玉川上水の工事を幕府から請け負い、失敗を重ねながら水道工事を完成させる様子を描いた小説。

『江戸に水がやってきた』

小沢長治作 田中良絵 岩崎書店

玉川庄右衛門の子ども立場で玉川上水を開いた玉川兄弟の水道工事の様子を説明した絵本。

『玉川上水 親と子の歴史散歩』

肥留間博著 たましん地域文化財団

玉川上水の歴史、分水、通船について触れ、史跡散歩のガイドになっている。

『玉川上水物語』

平井英次著 教育報道社

上水の歴史、小金井桜、村山貯水池、小河内ダムについて記述。

『玉川上水論集1』

羽村町教育委員会編 羽村町教育委員会

玉川上水に関する基本的な論文12編を収録。

『玉川上水 その歴史と役割』

羽村町郷土博物館編 羽村町教育委員会

上水の工事、しくみ、水番人の仕事、通船について記した小学生向けの本。

『玉川上水と分水』

小坂克信著 玉川上水と分水の会

玉川上水の工事と分水の利用について記した小学生向けの本。

『玉川上水 水と緑と人間の賛歌』

アサヒタウンズ編 けやき出版

玉川上水にまつわるルポルタージュ。

『玉川上水 橋と碑と』

蓑田?著 クオリ

玉川上水にまつわる碑とかかる橋について記述。

『玉川上水通船ノート』

玉川上水通船一件を読む会編 たましん地域文化財団

玉川上水の通船に関する14の論文を収録。

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伝記(児童書)(平成5年12月20日号掲載)

最近刊行された伝記のシリーズから、何冊か紹介します。今までの伝記物語ではなく、それぞれの人の生涯史となっており業績と人間像が、いきいきと魅力的に書かれています。

『リンカン』

ラッセル・フリードマン著 金原瑞人訳 偕成社

リンカンとは、どんな人なのでしょう。リンカンの伝記は、何度も書かれ、書き直され、実在の人物でありながら伝説上の人物になってしまいました。リンカンは、ほとんどまともな教育は受けていませんでしたが、雄弁な演説家であり、多くの人を魔法にかけてしまう力を持っていました。また、すばらしい作家でもあり、ホワイトハウスを訪れる人たちと、夜遅くまでシェイクスピアの芝居について話し込んでいたことも知られています。アメリカが南北に分裂するのを防ぎ、奴隷制度をなくした大統領。この本は、リンカンという人物を、彼の生きた時代を背景に、いろいろな角度から浮き彫りにしています。他に『コロンブス』『ライト兄弟』などがあります。

『ガンジー(伝記シリーズ世界を変えた人々)』

マイケル・ニコルソン著 坂崎麻子訳 偕成社

世の中には、信じられないような偉大な人々がいます。インドを独立に導いたガンジーも、そのひとりです。後にマハトマ(偉大な魂)と呼ばれるようになる彼は、闘いの手段として、非暴力の不服従の方法を選びました。腰布とサンダルしか見につけず、職業ももたず、財産とよべるものは何ひとつもつことがなかったガンジー。彼の財産は、人々にささげた愛と、人々から与えられた愛だけでした。このシリーズは、図版や写真も豊富で、被伝者の人物像や時代背景などもつかみやすくなっています。巻末には用語解説と年譜があります。ほかに、幼いころ浮浪児同然で救貧院にも入り、後にハリウッドで成功した喜劇の天才『チャップリン』、自然保護に一生を捧げた『ピーター・スコット』、ナチスの大虐殺から10万人のユダヤ人を救ったスウェーデンの外交官『ワレンバーク』などがあります。

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「絵本のへや」から(平成5年10月20日号掲載)

図書館では7月から、主に2・3歳児を対象とした「絵本のへや」を始めました。小さい子どもたちがおはなし室で楽しい時間をすごしています。今回はその中で好評だった絵本を紹介します。どうぞ心をこめて読んであげてください。

『ねこがいっぱい』

グレース・スカール作 やぶきみちこ訳 福音館書店

「おおきいねことちいさいねこ、しましまねことぽちぽちねこ」。リズミカルな文がここちよく響きます。明るい色調のシンプルな絵も幼い子どもたちにぴったりです。ゆっくりページをめくって読んでください。最後に声をそろえて「にゃーお」。小さい子はとても喜びます。

『かず(はじめてのえほん3)』

リブロポート

色彩の鮮やかな写真絵本です。子どもの身近なものばかりですので、物の名まえを当てっこしたり、数をかぞえたりするのも楽しいでしょう。

『ぼーるがころころ』

岸田衿子文 長新太絵 ひかりのくに

大事な大事な子犬のぼーるが逃げ出します。りすさんやぞうさんにこんにちは、さようなら。海を渡り、山に登り、雲に乗って帰ってきます。子どもたちもぼーるといっしょに遠くへ行って帰ってきたような顔をして聞いています。

『しろくまちゃんのほっとけーき』

わかやまけん作 こぐま社

子どもはおいしいものがでてくる本が大好きです。「ぴちぴちぴち、ぷつぷつ・・・」とほっとけーきがフライパンのうえで楽しい音をたてています。読んだ後のおやつのリクエストはきっとホットケーキですよ!

『あそびましょ』

松谷みよ子文 丸木俊絵 偕成社

赤ちゃんにわらべ唄を歌ってあげていますか。 「くまさん、くまさん、こんにちは」とくまさんと女の子が楽しく遊びます。読んでいるうちに自然と歌い始めてしまう絵本です。やさしい日本語のリズムを体で感じることができるでしょう。

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恐竜の本(平成5年8月20日号掲載)

今年は、恐竜ブームのようです。映画や展覧会を見た後に、本を読むと、また新たな興味がわき、太古への夢が広がることでしょう。

『巨大生物図鑑』

デイビット=ピーターズ作 偕成社

生命の歴史が始まってから今日まで、地球上の陸、海、空に生息した巨大な動物たち70種あまりを紹介したものです。イラストは実物の22.5分の1に完全に縮尺したものです。動物たちのそばを人間が走っていて、その対比で動物の大きさが実感できるという、アイディアが楽しい図鑑です。

『恐竜をほりだす』

アリキ文・絵 神鳥統夫訳 佑学社

博物館で何気なく見ている恐竜の骨は、とても苦労して、掘り出されたものだったのです。山を崩し、出てきた骨にはすぐニスを塗り、石こうで固め、大切に運ばれ、苦心して復元されるのです。それらを主人公の女の子の案内で楽しく学べます。美しい色彩の絵で、漫画風の吹き出しも使われていて、随所に遊びがある楽しい本です。ほかにも「恐竜のなぞ」、「化石はおしえてくれる」、「恐竜のけんきゅう」があります。

『講談社パノラマ図鑑 きょうりゅう』

長谷川善和文 大沢金一、村川いっきゅう絵

図鑑といっても、ただ恐竜が並んでいるだけではなく、体の仕組み、食生活、戦い方などの項目にわけてあり、生活する様子がよくわかり、同時に種類によっての違いも一目でわかります。なんと言っても、精密なうえに、迫力のある絵が魅力です。

『恐竜の足あとを追え』

松川正樹・小畠郁生著 あかね書房

中里村の巨大な一枚岩に不思議な穴があります。これが調べていくうちに、なんと恐竜の足跡だとわかりました。足跡から恐竜の大きさや、走る速度などもわかるそうです。外国の恐竜の足跡と比較したり、化石のできかたの説明などを交えながら、不思議なくぼみについて、推理・調査して、恐竜の足跡に間違いないとわかっていく課程を、ていねいに説明しています。そこには、驚きとともにロマンが感じられます。

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夏休みのおすすめ本から(平成5年7月20日号掲載)

さあ、夏休み。遊びと勉強のほかに読書も計画に入れてください。図書館のおすすめ本の中から紹介します。

『1ねん1くみシリーズ』

後藤竜二作 長谷川知子絵 ポプラ社

1年1組で一番ワルで1番元気なくろさわ君のお話。いつも彼の標的になってしまう気弱な“ぼく”も、クラスの仲間たちもなぜか彼を憎めない。エネルギーに満ちあふれた子ども像が鮮やかです。(1・2年生向き)

『ラッキーのひみつ』

竹下文子作 渡辺有一絵 偕成社

夏休みの家族旅行は海水浴。飼い犬のラッキーは留守番。でもラッキーは、真っ赤なスポーツカーに乗って海に来ていたんだ。さし絵も楽しく、読み慣れない子にもピッタリの本。(1・2年生向き)

『まどさんとさかたさんのことばあそび』

まどみちお文 阪田寛夫文 かみやしん絵 小峰書店

「ぞうさん」や「サッちゃん」で知られる、ふたりの詩人のことばあそびの詩集。日本語の言葉がこんなにおもしろいなんてと、思わずびっくり。ぜひ、声を出して読んでみてください。(3・4年生向き)

『テレビのすきなきょう竜くん』

ロビン=クライン作 あんどうのり子訳 アリスン=レスター絵 偕成社

エミリーの住むアパートはペットが禁止。なのに拾ってきた石から恐竜が生まれてしまう。子どもの大好きな恐竜を主人公にした物語。(3・4年生向き)

『黒ねこの王子カーボネル』

バーバラ・スレイ作 山本まつよ訳 岩波書店

「おもしろくって不思議な事の起こる本ない?」という子どもの要求に最適の本。10歳の少女ロージーは、夏休みに遊びの予定がない。ところが、偶然魔法のほうきと黒ネコを手に入れたため、思いがけない大冒険に乗り出すことに・・・。(5・6年生向き)

『ロビンソン・クルーソー』

D.デフォー作 坂井晴彦訳 B.ピカール画 福音館書店

クルーソーが苦しんだり、喜んだりしながら過ごした孤島での28年間。その物語の世界にどっぷりひたるおもしろさを味わってください。(5・6年生向き)

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「ドナウ」世界そして「トルコ」へ(平成5年6月20日号掲載)

『エリザベート』

塚本哲也著 文藝春秋

ドナウ世界の支配者ハプスブルク帝国皇帝フランツ=ヨーゼフの孫娘の伝記。彼女の波乱の人生とウイーン世紀末からハンガリー動乱までの中欧の近現代史がタペストリーを織りなし、憂愁な叙事詩の世界を作りだしています。第2次世界大戦後のオーストリアの敗戦国としての米ソ冷戦下の平和条約交渉などは、同じ立場にあった日本と比較され興味深い。

『ドナウ河紀行』

加藤雅彦著 岩波書店

エリザベートが自由に国内として歩いた旧ハプスブルク帝国とバルカンの世界をドナウ河を案内人にして語る歴史紀行。歴史は古代ローマのルーマニアの発祥譚から現代のユーゴスラヴィアの内戦まで。文学・音楽・宗教そして環境問題、はたまた料理からワルツの話、まさにハンガリーの名物料理「グラーシ」のように話が煮込まれていて滋味豊か。各章の見開きには、わかりやすい各国の地図と概要がのせられ、ドナウ河の景勝・名所旧跡のガイド本であり、また現代の中欧・東欧の政治を考えるときのよき水先案内でもあります。

『オスマン帝国』

鈴木薫著 講談社

前書でドナウ世界の征服者として、ヨーロッパの目でとらえられていたトルコ オスマン帝国の興隆史をトルコ側からとらえた小冊子。オスマン帝国の支配した地域は、今日、民族紛争の激しいバルカン、イラク、パレスチナを含みエジプト、北アフリカに及ぶ広大なもの、その多民族・多宗教・多言語の地域をいかに治めたか。その秘密を探ります。羊飼いでも大臣になれる開放的な社会。ユダヤ難民を保護した「イスラムの家」の寛容な宗教思想など。近代国民国家のかかえる困難な課題を考えるとき、オスマン帝国の前近代社会は、ことのほか新しい地平を拓くヒントが満ち満ちた世界だったのかもしれない。

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みどりと自然に親しむ(平成5年4月20日号掲載)

春の陽ざしがまぶしくふりそそぎ、うららかな毎日が続いています。庭の土の香もわたしたちを誘うよう・・・

『草花の育て方』

清水清執筆・監修 実業之日本社

執筆者は、小学生のころ学校の花壇で「オジギソウ」を植え、肥料をやりすぎて失敗したことをなつかしく書きながら、土や植物に親しむ喜びを伝えています。種から育てる植物、球根から育てる植物などにわけて紹介しています。また、食虫植物など、おもしろい植物についても詳しい育て方がのっています。コンパクトで手に取りやすい本で、写真も豊富です。

『母と子の草花づくり』

浅山英一著 家の光協会

草花を知ることについて、1年草・2年草の種別、用具の説明などをきちんとしてあります。絵もわかりやすく、色彩も暖かい。あなたもきっと種をまいて、花を育ててみたいと思われるでしょう。

『よもぎだんご』

さとうわきこ作 福音館

おだんごの好きな人は必読の本です。まず野原へ行ってよもぎを摘みます。見分け方は書いてあるから大丈夫。ナズナやツクシもいっしょに摘もうね。そして家に帰ったらさっそく、草のお料理を始めましょう。全部絵があるからわかりやすい。できあがったら、おいしくめしあがれ。おなじみのばばばあちゃんが教えてくれます。

『若葉萌えいづる山で 木と人間の宇宙(1)』

宇江敏勝著 欅源三郎写真 福音館書店

これはちょっと難しい本。奈良県の十津川で植林作業に従事する人たちの日録である。日常の雑多な仕事、そして黙々と続く作業。山に暮らす人たちの自然に向かう姿は決してきれいごとの世界ではない。環境保護などを声高に叫ぶことなく、地道に生きている人たちがいる。

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新聞を読む・探す(平成5年3月20日号掲載)

新聞は現在、わたしたちの生活の中に入り込み国際的な出来事から政治・経済・文化・スポーツさらに家事の事など幅広い情報を読者に提供しています。
しかし、古くなった新聞記事を見つけようとすると簡単に見つからない場合がよくあります。かなり前の記事などを探そうとすると、当てずっぽうに探してもすぐには見つかりません。今回は情報としての新聞記事を見る(探す)にはどのような資料があるのか紹介します。
発行された新聞を月単位でまとめたものに、新聞の縮刷版(朝日・毎日・読売・日本経済)があります。縮刷版は新聞そのものと比べると、小型になりますが、詳しい目次や索引があり、テーマで記事を探すことも比較的容易です。ただし新聞のようにすぐ発行というわけにはいきませんので、少し待っていただく必要があります。
図書館で所蔵している縮刷版は、昭和35年以降(欠けているものもあります)のものになります。明治・大正時代の古い新聞記事を探す場合は、新聞のマイクロフィルムが役立ちます。東京日日新聞(毎日新聞の前身・創刊から大正末年まで)と朝日新聞(昭和初年から昭和61年まで)のマイクロフィルムが中央図書館に所蔵されています。専用の機器を使って閲覧することができると同時に必要なところを複写することも可能です。新聞のマイクロフィルムは新しい出来事ばかりでなく、明治・大正期の事柄も当時の新聞をとおして自由に見ることができます。
定期的に出ている雑誌なのでも新聞の記事を見ることができます。「新聞ダイジェスト」(新聞ダイジェスト社「新聞月報」(新聞月報社)などがそれです。内容はテーマ別に編集されているので、月の新聞すべてに目を通すつもりで読むのもよいし、細かい目次をたよりに資料として活用するのもよいでしょう。
また、この他にも、多くの新聞記事を集めて歴史資料として編集した「新聞集成編年史」(明治・大正・昭和)や1年間の主要記事を集めた「朝日新聞の重要紙面」(朝日新聞社)などもあります。新聞を利用する目的によっていろいろな資料が図書館にはあるということがおわかりいただけたでしょうか。用途により十分ご活用ください。

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東京に縁のある文学(平成5年2月20日号掲載)

東京は、いろいろな顔を持っています。東京というイメージは、人それぞれに違いますが、何か魅力があると思います。そんな東京に縁のある文学を1980年代以降の作品から紹介します。

『父が消えた』

尾辻克彦著 文藝春秋

赤瀬川原平の名で知られている画家でもある作者の、5つの短篇小説です。「三鷹駅からいつも行く東京と違って、反対の八王子へ行く電車に乗ると、見慣れきった風景が、めくられて行くようだ」というような日常的な文章の中にも、ものの見方が新鮮に感じます。

『たまらん坂』

黒井千次著 福武書店

武蔵野の変遷する自然が背景の、7つの短篇小説です。なじみのある地名に誘われて、過ぎ去った歳月を思い、武蔵野を散策したくなります。

『高円寺純情商店街』

ねじめ正一著 新潮社

高円寺の乾物屋に生まれ育った正一少年の懐かしき日々。駅前商店街の、温かくほろ苦い、人生と勘定の世界で少年が大人になっていく物語。詩人の小説デビュー作です。

『帰らぬ日遠い昔』

林望著 講談社

帰らぬ日遠い昔は、三好達治の46歳の時の詩。高校生のころに、その死に出会った作者が、詩の表現の切実さに気づかされた時、なにもかも帰らぬ日遠い昔のこと。都立高校での、良き時代の青春を感じる作品です。

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冬の絵本 寒い日を豊かに美しく(平成5年1月20日号掲載)

寒い冬の日、子どもといっしょに絵本を楽しんでみませんか。心があったかくなりますよ。

『そりあそび』

さとうわきこ作・絵 福音館書店

ばばばあちゃんシリーズの1冊。何でもすることが豪快な、ばばばあちゃんならではの冬のあったかくなる遊び。寒さも吹き飛んでしまいます。

『14ひきのさむいふゆ』

いわむらかずお作 童心社

14ひきのねずみの家族のお話。吹雪の日は暖かい部屋で、皆で作ったゲームで遊び、ほっかほっかのおまんじゅうを食べ、雪がやんだら家中でそりすべり。家族の暖かさが伝わってくる絵本です。

『ふゆめがっしょうだん』

冨成忠夫・茂木透写真 長新太文 福音館書店

木の芽の顔、ご存知ですか。落葉した跡が、コアラやウサギや子どもの顔に見えるのです。いろんな顔があって、とてもユーモラス。文章も楽しく、思わず歌ってみたくなります。

『ゆき、ゆき』

ロイ・マッキー P・D・イーストマン作 岸田衿子訳 ペンギン社

子どもは雪が大好き。雪が降ってきただけで、ワクワクしてくるし、積もったらすぐいろんな遊びを思いつきます。そんな子どものうれしさがあふれています。

『てっちゃんけんちゃんとゆきだるま』

おくやまたえこ作 福音館書店

てっちゃんとけんちゃんの兄弟が雪の野原を歩いていくと、そこは雪だるまの家。雪だるまの家族は大歓迎で、冷蔵庫のような寒い家で、かき氷でおもてなしです。すっかり凍えてしまった兄弟が、外へ出て、雪だるまたちと相撲をとっていると、さあたいへん、雪だるまたちが解け初めて・・・。

『月夜のみみずく』

ヨーレン詩 ショーエンヘール絵 工藤直子訳 偕成社

冬の夜更け、父親は娘とみみずくを見に森へ出かけます。神秘的な美しさにみちた夜の森の体験は、子どもの心にいきいきとした感動を残してくれます。

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美術全集で多くの美術品の鑑賞を(平成4年12月20日号掲載)

最近、話題性のある美術全集が相次いで刊行されています。特徴の一つとして、日本中(あるいは世界中)の美術館などにある作品を丹念に集め、新しい写真技術で撮影し、収録したということがあげられます。一冊の本をとおし、このように多彩な美術品を鑑賞できるということは、美術書ならではの利点なのでしょうか。さらに、直接美術館などに出かけ鑑賞するのと違った楽しみが生まれてくるかもしれません。

『世界ガラス美術全集 全6巻』

由水常雄編 求龍堂

最近、ガラス美術への関心が高まっているようです。そしてガラス美術品が美術館などで数多く展示され、また美術書もアール・ヌーボー期の作品を中心に取り上げたものが増えてきています。この全集は古代から現代までのガラス美術の流れを豊富なカラー図版で紹介しています。古代メソポタミアに起源があるガラスの歴史は、正に人類の歴史と同じ歩みを持つと言われています。ガラスをとおし、それぞれの時代に生きた人々の生活が見えてくるなどと想像するのも楽しいかも知れません。その他その時代のガラスの技法を再現しているのも、おもしろいのではないでしょうか。

『世界美術大全集 西洋編 全28巻』

小学館

先史時代の美術から現代美術までを時代別にまとめています。今までにもいくつかの美術全集が刊行されてきましたが、今回は、旧ソビエト連邦・東欧諸国など旧来のものに収められなかった美術品や、技術的にも進歩した方法で改めて撮影したものなど多数取り入れられている点が、大きく変わっています。また、最初の出版が、イタリア・ルネサンス(第11巻)と世界の美術史上最も多彩な作品が数多く作られた時代から始まるというのも興味深いものがあります。数年をかけ出版予定とのことで、続刊が待たれます。

『日本の陶磁 現代篇 全8巻』

乾由明責任編集 林屋晴三責任編集 中央公論社

桃山・江戸期の日本陶磁をまとめた「日本の陶磁」全7巻、「日本の陶磁古代・中世篇」全3巻に続いて、明治以降現在に至る現代日本の代表的な陶芸家の作品を収めています。日本の現代陶芸の目覚しい発展に大きな影響力を与えた、板谷波山・北大路魯山人の2人を始めとした77人の作家の活力にあふれた作品を豊富な図版とともに収録しています。巻末に各陶芸家の年譜と作風論が載せられているのが、参考になると思います。

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ビジネスマンにすすめる2冊の本(平成4年11月20日号掲載)

多くのビジネスマンにとって、会社の存在を抜きにしての生活は考えられません。今回は、それぞれ異なった切り口で企業を、あるいは企業人をとらえた本として、話題性がある2冊の本を紹介します。

『バンカーズ』

山崎洋樹著 JICC出版局

大学生の就職先として、人気の高い大手銀行。この大手銀行を舞台にした話題作がこの本です。みずから若き大手銀行マンであった著者による作品だけあって、その内容はノンフィクション的に、銀行の世界が細かく描かれています。単調な預金回収業務に嫌気をさしてやめていく新人たち、私服を肥やすことに夢中な支店長、その一方で誠実に頑張っている行員。その若い行員の目から見た銀行とはどのようなところか、仕事の流れからその中の一つ一つの専門分野についてまで、知らない方にとってもわかりやすく解説しています。これから銀行マンを目指す方はもとより、銀行について興味のある方にもお勧めします。

『会社人間のボランティア奮戦記』

磯部裕三著 文藝春秋

企業で働くビジネスマンを言い表す言葉として、「企業戦士」「会社人間」と言われて久しくなりますが、「自分の人生に仕事以外に何があるのか」と自問する方も少なからずいることでしょう。本書の著者は、一流企業の部長としてまさしく仕事人間としての日々を送ってきました。ところが友人の死をきっかけに、自分自身の人生にあらためて問いかけをします。その結論が、自社の「ソーシャルサービス制度」への応募と、それに伴う福祉活動の参加でした。その10か月にわたるボランティア活動の記録をまとめたものが本書です。わたしたち個人個人は、福祉活動を大事だと思っていますが、その実態はあまり知らないのではないでしょうか。著者は本書の中で、今までの自分の生活とボランティア活動の中の実態に落差があり、驚き怒ります。まったく福祉活動に知識がなかった著者が、障害者との交流を通し、理解を徐々に深めていく様子は感動的です。高齢化社会を迎え、他人の事ではなく、自分の問題として「福祉」を考えるとき、ぜひ読んでおきたい本です。

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秋を探そう(平成4年10月20日号掲載)

自然がひときわ美しい秋、身近な公園や庭で、ちょっと注意深く観察してみませんか。

『どんぐり』

こうやすすむ作 福音館書店

子どもは、どんぐりが大好きです。いっぱい拾ったら、この本を開いて調べましょう。読みやすく、色彩も美しい本です。落ちたどんぐりは、動物が食べたり蓄えたりしますが、その中で土の中に浅く埋められて、食べ忘れられたどんぐりからだけ芽を出します。動物は自分では知らずに木を植えているのです。そんな自然の仕組みの不思議さに驚きを感ぜずにはいられません。木々への愛着もいっそう増すことでしょう。

『たねのふしぎ なぜなぜはかせのかがくの本』

小林実作 国土社

実りの秋、野原へ出て、種をみつけてみませんか。新しい場所を求めて、種がさまざまな方法で運ばれます。はじき飛ばされて、くっついて、風に乗って、などとその方法別に分類して種の不思議さを教えてくれます。

『日本のキノコ』

吉見昭一作 岩崎書店

味覚の秋、おいしい食べ物の一つキノコにもさまざまな種類があります。うっかり食べるとたいへんな毒キノコにも注意しなければなりません。身近に見られるキノコを188種類取り上げ、その不思議な生活や、みごとな生態を紹介しています。同じ作者の本「キノコの女王 キヌガサタケが開く!」(大日本図書)もあわせて読んでみてください。レースのスカートをひろげたようなキヌガサタケの美しさとともに作者のキノコに傾ける情熱にうたれます。

『色づく葉』

松下まり子作 保育社

秋は木の葉の美しい季節です。どうして葉の色が変わるのでしょう。どんな種類の木や葉や草が、色づくのでしょう。図や写真をたくさん使って、そんな疑問を解き明かしてくれます。観察した後は、落葉あそびのページで楽しみましょう。

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身近な物を観察しよう(平成4年8月20日号掲載)

夏休みもあとわずかとなりました。宿題をやり残している方のため、というわけではありませんが、そんな方にもぴったりの本を紹介します。ごく身近なもので実験したり、観察してみてはいかがでしょうか。

『ダンゴムシのいくつものふしぎ』

いぬいみのる文・写真 大日本図書

庭の小石や植木鉢を動かしたりすると、その下にダンゴムシが何匹も群がっていることがよくあります。ひょいとさわったりすると、コロコロとボールのように体を丸めてしまいます。子どものころは平気で丸めて遊んでいたのに、さすがに大人になると、気味が悪くなる虫のひとつかもしれません。では、ダンゴムシとはどんな動物で、どうして丸くなるのでしょうか。日陰の虫にちょっと光を当てて、その不思議をのぞいてみましょう。

『牛乳のひみつ』

小竹千香子・佐々木和子共著 さ・え・ら書房

牛乳は、毎日のように飲んだり、乳製品として食べたりする身近な食品ですが、その種類や性質については、意外と知られていないことも多いようです。牛乳を使った楽しい実験をしながら、その性質を探ります。チーズやバターの作り方も紹介してあるので挑戦してみてはいかがでしょうか。栄養豊かな牛乳を再認識させられる一冊です。

『マイ・サイエンス・ブック 水』

村上和雄日本語版監修 創隆社

イギリスで出版された、子ども向き科学の本の日本語版です。ほかに「空気」、「光」、「色」などが既刊。どれも美しいカラー写真を中心に構成されており、見ているだけでも楽しいものです。身の回りにある物を使った、簡単で楽しい実験で、水の性質・特性を確かめます。日本の本と比べると遊び心が感じられて、低学年の子どもたちに喜ばれそうです。

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海辺の絵本(平成4年7月20日号掲載)

さあ、夏休み。潮風を感じさせてくれる絵本を取り上げてみました。

『うみべのハリー』

ジーン・ジオン文 グレアム絵 わたなべしげお訳 福音館書店

ハリーは、黒いぶちのある白い犬です。海辺で日陰を探しているうちに迷子になってしまいました。さまよい歩いている途中、海藻が体に巻きついて、おばけに間違えられ、海水浴場が大騒ぎになります。読者は、ハリーと共に心細くなったり、ハラハラしたりすることでしょう。ユーモラスで暖かい色づかいの絵が、親しみのある楽しい雰囲気を描き出しています。

『だいちゃんとうみ』

太田大八文・絵 福音館書店

だいちゃんは、夏休みにいとこのこうちゃんの家に遊びに来ました。魚釣りをしたり、浜辺で飯ごう炊さんをしたり思いきり自然の中で遊びます。緑の山々、澄んだ空気、透き通る水、刻々と色の変わる海など、自然の恵みと美しさに囲まれ、ゆったりとした時間の流れに身をまかせる幸せが伝わってきます。

『海べのあさ』

マックロスキー文・絵 石井桃子訳 岩波書店

ある朝、サリーの歯がグラグラしはじめます。抜けた歯を枕の下に入れて寝ると、願いごとがかなうというので、抜けるのを楽しみにしていたのに、父さんとハマグリを掘っている最中に砂の中へ失くしてしまいます。成長の喜びが踊っています。また、父と子のユーモアのある会話も楽しく、海辺の豊かな暮らしぶりを背景に、温かな人々の中ではぐくまれる幸福を感じさせてくれる絵本です。

『海のおばけオーリー』

マリー・ホール・エッツ文・絵 岩波書店

お母さんと別れて、水族館でつらい日々を送っていたアザラシのオーリーは、ある日飼育係に湖に逃がしてもらいます。その日から湖に出没しておばけと間違われて、大騒動になります。町の人たちの想像力でオーリーが怪獣のようになってしまったり、人々の慌てぶりが愉快です。オーリーは、お母さんのもとへ帰るのですが、オーリーの帰る遠い遠い道のりが地図に描かれていて感動的です。

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雨の日に小説の旅を(平成4年6月20日号掲載)

『日の名残り』

カズオ・イシグロ著 土屋政雄訳 中央公論社

主人の車を借りて南イングランドへ休暇旅行へ出た執事が、「偉大なるブリテン」の田園風景の中でありし日々を回想する。前の主人のこと(第二次世界大戦前夜のイギリス貴族社会)や仕事のこと(プロフェッショナル論)が語られる。そこには、大英帝国の残照と人生のたそがれが重ね合わされている。しかし、この静かな文体の中で、作者は結構主人公にユーモアと毒をきかしている。この旅行の真の目的や現主人(アメリカ人)のしゃれに対する主人公のとまどいぶりにそれが表れていて、なかなか秀逸。なお、作者はイギリスに帰化した日本人。

『マリコ/マリキータ』

池澤夏樹著 文藝春秋

日本を離れた何か清れつな印象の短篇5篇。暑いグアムでフィールドワークをする「ぼく」と「マリコ/マリキータ」の出会いと別れ。マリコの軽やかな生がすてき。カラコルムの西の遺跡で、「ぼく」は宇宙との交換体験をする。友を残し、愛するために現実世界に「帰ってきた男」の話。などなど。

『夏の雨』

マルグリッド・デュラス著 田中倫朗訳 河出書房新社

映画「愛人」の原作者が、5か月間ものこん睡状態におちいる大病の後に発表した作品。自身も映画を作る彼女の「子供たち」のスクリプトが基になっている。主人公はエルネストという少年。貧しい移民家族の子どもで、突然、高度の知能をしめし、「学校じゃあぼくのしらないことばかり教えるから、もう学校へは行かないよ」とで宣言し、物語はすすんでいく。「異邦人」、「旧約聖書」、「愛」などデュラス調の精神世界が複雑、そして過激に繰り広げられる。必ずあなたの世界に対する感覚は揺さぶられるはず。じめじめした日本とは対極の世界がそこにある。

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緑のある世界(平成4年4月20日号掲載)

新緑のまぶしい季節です。野山に出かけたり、庭の草花に親しむ機会を持ちたいものです。今回は『緑』に関する本を紹介します。

『ブナの森は緑のダム』

太田威文・写真 あかね書房

ブナの森は緑のダム 天然の水がめと呼んで昔から人々はブナの森を守ってきました。早春から冬の眠りにつくまでのブナの森の息吹を美しい写真で追いながら、人々の生活やそこで暮らす動物たちの姿を伝えています。また、ブナの森の分布や食物連鎖の仕組みが、わかりやすい文章とイラスト解説されています。森林破壊が進む日本の森の危機にも触れて、環境へ目を向ける入門となる本です。

『木はいいなあ』

ユードリイ作 シーモント絵 西園寺祥子訳 偕成社

都市化が進み、子どもと自然との生活が失われていく中で、子どもたちに『木』とのすばらしい生活を味わってもらおうと描かれた絵本です。詩的でリズミカルな文とやわらかい色彩の絵が一体となって、身近に木のある生活の喜びをうたっています。小さい子どもたちに読んであげても、大人が読んでも楽しめるすばらしい絵本です。出版されてから30年たった今日、ますますこの本の価値は増しているといえるでしょう。1957年コルデコット賞受賞作。

『生物の消えた島』

田川日出夫・文 松岡達英・絵 福音館書店

インドネシアのクラタカタウ島で今からおよそ百年前の1883年に、火山の大噴火が起こりました。その音は2千キロメートル離れたオーストラリアやタイでも聞こえたといわれています。この噴火で島は火山灰で埋まり死の世界でした。ところが、3年後に上陸した科学者は植物の芽生えを報告しています。この島で生物が生命を取り戻していく様子を、学者が研究発表していくという形をとっている本。精密なイラストも楽しめます。

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くまの本(平成3年12月20日号掲載)

自然界では熊は恐ろしい存在ですが、絵本や物語に登場する熊は、かわいいぬいぐるみだったり、心温かい家族として活躍しています。そんな熊の家族やぬいぐるみの主人公たちを紹介します。

『くまたくんのえほん 全15巻』

渡辺茂男作 大友康夫絵 あかね書房

幼いくまのくまたくんの初体験を描いたシリーズ。デパートで迷子になってしまったときの心細い気持ちを描いた「ぼくまいごになったんだ」、父親とふたりきりの留守番のほのぼのとした一日、くまたくんもおとうさんもお互いの存在だけで、喜びに満たされているような「くまたくんのおるすばん」と、どの本も日常生活のさりげない光景の中に、幼い子の心理や親子の触れ合いが温かく描かれています。

『くまのバディントン』

マイケル・ボンド作 松岡享子訳 福音館書店

ブラウン夫妻が初めてパディントンに会ったのが駅のプラットホーム。その駅の名がパディントンだったのでこんな名前がついたのです。さてブラウン家の一員となったパディントンがまき起こす珍事騒動の数々・・・。ユーモアあふれる文章は、思わず笑いを誘います。

『くまのコールテンくん』

フリーマン作 松岡享子訳 偕成社

ぬいぐるみのコールテンくんは、デパートのおもちゃ売場にいます。ズボンのボタンが取れていて売れ残っていますが、彼を一目見て気に入った女の子が貯金をおろして買っていきます。版画に水彩で着色された絵は、コールテンくんの微妙な表情もよく伝えていて、読者は自分の気持ちを重ね合わせることでしょう。コールテンくんと女の子の思いがしみじみと伝わってくる作品です。

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秋をたのしむ(平成3年10月20日号掲載)

木々が美しく色づき、空も高く澄みわたる季節・・・。あなたには、読書の秋でしょうか。旅する秋でしょうか。それとも食欲の秋でしょうか。それぞれの秋にふさわしい本を紹介します。

『ぶきっちょアンナのおくりもの』

ジーン・リトル作 福武書店

アンナは5人兄弟の末っ子です。ボール遊びや編物もうまくできません。けれどもパパだけはそんなアンナをかわいがってくれました。やがて家族は、ヒトラーが政権をにぎるドイツからカナダへ移住するのですが、そこで家族たちは、アンナの目がよく見えないことを発見します。さて、アンナは眼鏡をかけることになり、新しい世界へと一歩ずつ足を踏み出していきます。疎外され、心を閉ざしていた子ども=アンナが、あるきっかけから少しずつ心を開き、成長していく様子を描く心温まる物語です。

『鎌倉史跡見学』

沢寿郎著 岩波書店

あなたは鎌倉を歩いたことがありますか?この本はいわゆる旅行ガイドではありません。鎌倉に住み、鎌倉にくわしい著者が、鎌倉幕府の成立から室町時代までの政治の流れ、禅宗をはじめとする仏教の興亡、人々の暮らし・文化について、史跡に触れながら解説しています。この1冊を携えて、秋の一日、家族そろっての古寺散歩はいかがですか。

『かき』

ちかみじゅんこ文 津田栄作写真 金の星社

秋の山里を彩る朱色の柿の実。次郎柿、禅寺丸などの品種名が示すとおり、遠く奈良時代から日本人にはなじみ深い果物です。この本は、柿畑の1年を若芽の季節から収穫の時期まで、柿の成長と農家の人の仕事を美しい写真で追っています。今あなたの食べている柿もこうして育ってきたのかもしれませんね。

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マーシャ・ブラウンの本(平成3年8月20日号掲載)

「三びきのやぎのがらがらどん」でおなじみのマーシャ・ブラウンの絵本を取り上げてみました。彼女はアメリカの最高の絵本賞であるコールデコット賞を「シンデレラ」(福音館)「あるひねずみが」「影ぼっこ」で3度も受賞しています。しかもお話に合わせて、さまざまな手法を駆使して絵を描くという、たぐいまれな才能の持主です。心をふるわす絵本との出会いは、夏の終わりの一服の清涼剤となることでしょう。

『影ぼっこ』

ブレーズ・サンドラール文 マーシャ・ブラウン絵 おのえたかこ訳 ほるぷ出版

踊るように揺れる影のイメージを歌う詩人と画家の魂が融合して作り出した、美しくしかもどこか恐ろしい、幻想的な絵本です。切り絵の手法が影の世界を見事に描き出しています。燃える赤と黒の影、暮れゆく空の青など忘れられない色彩です。揺らめく炎、太鼓の音、澄んだ空気などがページから踊り出て五感を揺さぶります。

『あるひねずみが・・・。』

マーシャ・ブラウン作 やぎたよしこ訳 冨山房

インドのお話。ある日、ねずみがカラスに追われて行者のもとに逃げて来ます。そこで行者はねずみを猫に変えて助けてあげます。しかしもっと大きい動物に追われるので次々姿を変えて、とうとうトラにしてあげると、ねずみは恩を忘れて、行者を殺そうと企てます。しかし・・・。この本には版画が使われています。渋い色彩で仕上げてありますが力強く、動物の表情は豊かで、躍動感にあふれています。文章も簡潔で読みやすく、読むたびに味わいを増す絵本です。

『せかい1おいしいスープ』

マーシャ・ブラウン絵 わたなべしげお訳 ペンギン社

フランスの昔話。戦争が終わり、国へ帰る途中、疲れて腹ぺこの3人の兵隊がある村に着きます。村人は戸を閉ざして、入れてくれません。そこで3人は広場で石だけ入れたスープを作り始めます。そして、せかい1おいしいスープが出来上がります。温かい色調で、踊るような線がユーモラスなお話を引き立てています。ほかに「パンはころころ」(冨山房)、「もりのともだち」(冨山房)などもあります。

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夏休み(平成3年7月20日号掲載)

いよいよ夏休み。あなたはどんな計画がありますか?今回は、夏休みアラカルトをお贈りします。

『ねこのオーランドー』

キャスリーン・ヘイル作 脇明子訳 福音館書店

ママレード色のねこオーランドーは家族そろってキャンプに行きたいと思いました。ご主人は、「おまえがるすをするとねずみどもが悪さをするから」としぶりますが、とうとうお休みをもらってキャンプに出かけます。川岸にテントをはり、ハイキングや音楽、そしていろいろな楽しみのなかで、ほんとうにすばらしい夏休みを過ごします。みなさんもきっとこんな休暇を過ごしてみたいと思うことでしょう。パステルの絵があざやかな大型の絵本。

『山のむこうは青い海だった』

今江祥智作 理論社

きっかけは、中学校の始業式の朝だった。担任の井山先生の「百円持っていたら何に使いたいか」という問いに、次郎は「往復切符を買って旅に出たい」と書きます。そして今、次郎は父のお墓のある町へと旅立つ。痛快でちょっぴり切ない、中学生に贈る夏の冒険物語。大阪弁が関西の雰囲気を伝えます。山のむこうには・・・。

『キッチンアイデア工作』

武藤光子作 岩崎書店

台所にある材料で簡単にできてしまう工作の本。アイスキャンデーの棒やくるみの実、大きなゴミ袋や卵のカラまでもが楽しく変身。シジミやアサリの貝殻で作ったブローチからは波の音が聞こえてきそうです。

『尾瀬ハイキング』

蜂谷緑著 岩波書店(ジュニア新書)

夏が来れば思い出す・・・。尾瀬はだれでも一度は訪れてみたいというあこがれの場所ではないでしょうか。この本は尾瀬の歴史から花や鳥、自然保護、そしてハイキングコースの紹介など、盛りだくさんの尾瀬入門書となっています。初めて山歩きをしようという人のために装備や心構えについても記されています。

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秘湯を訪ねて(平成3年6月20日号掲載)

最近は温泉の探訪に人気が集まっているようです。温泉に関する本も多く見られ、選ぶのに迷っている方もいるのではないのでしょうか。そこで今回は、数ある本の中からガイド書となる何冊かを紹介します。まだ、夏休みの計画が決まっていない方は、参考にしてはいかがでしょうか。

『車で行ける名湯・秘湯 首都圏編』

JAF出版

ドライブガイドシリーズの中の1冊で、東京から一泊程度で行ける温泉を約500ほど紹介しています。目的地までの道路も、高速道路沿線別に詳細地域図によって、わからないことのないよう距離や道順が記載されています。また、東京を起点として実走200キロメートルを限度としているため、自由に目的に合わせた温泉を選ぶことができます。車で行く方には適した一冊でしょう。

『療養温泉の旅 全国版』

山と渓谷社

全国にある温泉の中から〔神経痛・リウマチ〕に効く温泉、〔交通事故後遺症〕に効く温泉など、各症状の18項目に適した温泉を効能別に分類し紹介しています。温泉の特色・いわれ・歴史などもわかりやすく書かれています。泉質も新しい表示方法は使用せず、従来の11種の分類法で親しみやすい工夫がなされています。温泉だけでなく、付近の散策地、楽しみなども紹介されているため、家族連れの方にも喜ばれる一冊でしょう。

『名湯・秘湯めぐり にっぽん全国 伝説と民話で探る100のコース』

望月一虎著 全園社

飲んで唄って騒ぐだけの旅ではなく、その土地にただようローカル色を求め、さらに心のよりどころを得たいという人のために書かれた本です。ローカル的な温泉を、全国から百泉選び出しているほか、その地方に伝えられている伝説、民話、史話が挿入されています。趣のある楽しい旅を望む方への一冊です。

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ゆうれいの本(平成3年4月20日号掲載)

幽霊といっても既成のイメージとはちょっと違った幽霊の本を取り上げてみました。幼年向きのものから高学年向きのものまで紹介します。

『子そだてゆうれい』

桜井信夫文 若山憲絵 ほるぷ出版

日本の昔話絵本です。みごもった女性が旅の途中で亡くなります。埋葬されてから、赤ちゃんが生まれますが、母親は幽霊となって、アメを買いに出かけ子どもを育てます。無気味な中に深い母の愛が感じられるお話です。

『あらし』

ケビン・クロスレー・ホーランド文 島田香訳 ほるぶ出版

アニーは沼のほとりの一軒家に住んでいます。嫁いだ姉が出産のため帰ってきましたが、嵐の晩に赤ちゃんが生まれそうになります。アニーは幽霊のいるという沼を通って医者を呼びに行かねばなりません。そのとき、馬に乗った不思議な男が現れ、アニーを村まで連れて行ってくれるのです。アニーが嵐の中を、見知らぬ男と馬に乗って走る緊迫した場面では、幼い読者も胸を高鳴らせることでしょう。

『足音がやってくる』

マーガレット・マーヒー作 青木由紀子訳 岩波書店

ごく普通の金曜日に8歳の少年バーニーは、幽霊が自分に取りつこうとしていることがわかります。幽霊は、足音を立てて、毎日少しずつ近づいてくるのでした。どうなるだろうと、一気に読み進めます。魔法に満ちた世界に誘い込まれて、息苦しいほどです。読後、もしかしたらあなたもほかのだれにもない自分自身の特別な力、魔法の力に目覚めたりするかもしれません。

『幽霊を見た10の話』

フィリパ・ピアス作 高杉一郎訳 岩波書店

この本の幽霊は普通の幽霊を想像すると物足りなく思われるほどかすかな存在です。人の心の深えんに潜む情念から生まれた影のようなものかもしれません。ち密な描写によって、読者も幽霊を感じ、確かに見たと思えてくるのです。

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もう『春』を見つけましたか?(平成3年3月20日号掲載)

お日さまの光がだんだん強くなってくると、冬のあいだ眠っていた草花や生きものたちがいっせいに目をさまします。あなたの家のまわりでもきっと春が見つかりますよ。

『はる・なつ・あき・ふゆ(うたの絵本6)』

初山滋絵 リブロポート

子どもといっしょに童謡を歌ってみたいと思っても、歌詞を忘れていることがあって残念に思われたことはありませんか。この「うたの絵本」シリーズは、昔から歌い継がれてきた童謡やわらべうたなどの歌詞を美しく叙情あふれる絵とともに紹介しています。巻末には楽譜もついているので見ながら歌ってもいいですね。親子で楽しめるきれいな歌の本です。ぜひ手にとってみてください。ほかに「どうぶつのくに」「むかしばなしうた」などがあります。

『名前といわれ 野の草花図鑑 上巻(早春~夏)』

杉村昇著 偕成社

草花の写真とその植物の語源の写真を並べ、ひと目でその植物名のいわれや語源がわかるようになっています。分布、花の時期や大きさや色、草丈なども示され、ハンディな植物図鑑としても利用できます。今まで見落としていた道端の草花たちに親しみを感じるようになることうけあいです。さて、うす青色の可れんな花を咲かせるオオイヌノフグリのいわれをご存知ですか?

『よもぎだんご』

さとうわきこ作 福音館書店

絵本の主人公「ばばばあちゃん」といっしょに野原にでかけましょう。食べられる野草がいろいろ身近なところにあるのにびっくりするはずです。採ってきた野草をゆでたり、さらしたり、こねたり、まぜたり・・・。どんなものができ上るのかな。作り方をやさしく書いてあるので小さい子どもでも大丈夫。家族で楽しくにぎやかに「よもぎだんご」を作ってみてはいかがでしょうか。

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緑の森を考える(平成3年1月20日号掲載)

地球環境の破壊が、今、大きな問題になっています。その中の森林破壊が、人間(地球)にどのようなかかわりをもつものなのかを考えるための本を紹介します。

『日本に森林はいらないか』

森林フォーラム実行委員会編 日本経済評論社

国土の7割を占める森林の荒廃は年々進むばかりであるといわれています。そのような観点から、編者が’88年、「森林がなくなる前に」というテーマで、“自然保護と林業の調和は可能か”“都市に緑はよみがえるか”“リゾートは山村に何をもたらすか”“地域にとって国有林とは何か”“林業と山村は再生できるか”などについて、各都市でシンポジウムを開きそれをまとめた本。森林に関心を抱いている人々だけでなく、都市の今後のありかたを考えている人にもすすめたい1冊でもあります。

『森の旅森の人』

稲本正文 姉崎一馬写真 世界文化社

自分が住む飛騨の森以外はほとんどしらないという木工作家の著者が、日本の森林を、その文化・本質を理解しようと、訪ね書いた本です。それぞれの森に身を投げ込んでのレポートは、北は北海道から南は西表までの全国にわたります。写真も季節を追い豊富に使用されています。環境問題が話題になっている昨今、自然保護と林業、また自然環境と文明が、今後どのようにしたらよいのかを考えるに適切なガイドブックです。

『地球は復讐する』

フレッド・ピアス著 平澤正夫・戸田清・青木玲訳 草思社

森林の破壊などにより、地球は温暖化時代を迎えています。この“地球の復讐”に人類はどう対処したらよいのかを、著者が第一線の研究者の知見をもとに書いた本。気温を制御する地球の機構などをわかりやすく説明しており、地球温暖化の科学面についての幅広い基本的な解読書です。